レーザーと放射線治療後の再発に対して気管管状切除を施行した腺様嚢胞癌の1例

症例は66歳, 女性. 1992年12月呼吸困難を主訴として久留米大学救命救急センターに搬入され, 気管腫瘍による気管狭窄の診断でNd-YAG laser照射による緊急気管拡張術が施行された. 病理組織診断で腺様嚢胞癌と診断され, 手術が考慮されたが, 患者の希望で放射線照射が施行された. 放治後の生検で腫瘍細胞は認められず, CT, MRIでも気管壁外に明らかな腫瘍は認められず, 臨床的CRと判断された. その後の外来経過観察中, 1998年10月に軽度の呼吸困難を自覚し徐々に増強したため再発を疑い, 手術目的で当科入院となった. CT, 内視鏡所見でcrinaのより口側約3~6cmにかけて...

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Published in気管支学 Vol. 21; no. 7; p. 511
Main Authors 田中真理, 林明宏, 高森信三, 田山光介, 光岡正浩, 田村耕一, 白水和雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.11.1999
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は66歳, 女性. 1992年12月呼吸困難を主訴として久留米大学救命救急センターに搬入され, 気管腫瘍による気管狭窄の診断でNd-YAG laser照射による緊急気管拡張術が施行された. 病理組織診断で腺様嚢胞癌と診断され, 手術が考慮されたが, 患者の希望で放射線照射が施行された. 放治後の生検で腫瘍細胞は認められず, CT, MRIでも気管壁外に明らかな腫瘍は認められず, 臨床的CRと判断された. その後の外来経過観察中, 1998年10月に軽度の呼吸困難を自覚し徐々に増強したため再発を疑い, 手術目的で当科入院となった. CT, 内視鏡所見でcrinaのより口側約3~6cmにかけて気管の全周性の狭窄と, 膜様部と食道間の肥厚がみられたが, 生検組織では明らかな腫瘍細胞は認められなかった. 手術は右後側方切開4ICSで開胸し, 気管狭窄部を約3cm管状切除し端々吻合した. 術後病理で断端の癌遺残がみられ吻合部を中心に腔内照射が施行された.
ISSN:0287-2137