指節骨頸部変形治癒骨折の1例

【目的】基節骨あるいは中節骨の頸部骨折は比較的稀であり, そのほとんどが小児に認められる. 本骨折の頻度は小児の手の骨折の約1%とされており, その診断, 治癒には難渋することも少なくない. 今回, 本骨折の陳旧例1例を経験したので自験例をふまえ文献的考察を加えて報告する. 【症例】12歳男性. 自転車走行中, 電信柱に激突受傷. 前医にて約4週間のスプリント固定を受け加療中であったが, PIP関節の著明な屈曲制限を主訴に受傷後約3ケ月に当科を受診. 初診時の側面レントゲンにて, 左小指基節骨骨頭は高度に背側転位したまま変形治癒しており, さらに正面像で約15度尺側転位を認めていた. 受傷後約...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 52; no. 2; p. 442
Main Authors 成田健, 坂井健介, 白濱正博, 永田見生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2003
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ISSN0037-1033

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Summary:【目的】基節骨あるいは中節骨の頸部骨折は比較的稀であり, そのほとんどが小児に認められる. 本骨折の頻度は小児の手の骨折の約1%とされており, その診断, 治癒には難渋することも少なくない. 今回, 本骨折の陳旧例1例を経験したので自験例をふまえ文献的考察を加えて報告する. 【症例】12歳男性. 自転車走行中, 電信柱に激突受傷. 前医にて約4週間のスプリント固定を受け加療中であったが, PIP関節の著明な屈曲制限を主訴に受傷後約3ケ月に当科を受診. 初診時の側面レントゲンにて, 左小指基節骨骨頭は高度に背側転位したまま変形治癒しており, さらに正面像で約15度尺側転位を認めていた. 受傷後約4ケ月にて掌側アプローチにてsubcondylar fossa reconstruction法にて手術を施行. 術直後より自動運動開始. 術後7ケ月の現在, 術前あった尺屈変形はほぼ自家矯正され, PIP関節伸展0度, 屈曲80度まで改善し, 日常生活に支障なく本人は非常に満足している. 【結語】背側転位型の指節骨頸部変形治癒骨折に対してsubcondylar fossa reconstruction法は非常に有用であると思われた.
ISSN:0037-1033