胸骨吊り上げ法を併用した胸腔鏡下手術にて切除しえた巨大胸腺脂肪腫
〔目的〕我々は, 当院独自の吊り上げ法を用いた胸腔鏡下拡大胸腺摘出術を報告してきた. 今回本法を用いた巨大な胸腺脂肪腫切除例を経験したので報告する. 〔対象〕症例は33歳, 男性. 主訴は, 労作時呼吸困難及び胸部違和感であった. 胸部単純X線撮影にて, 前縦隔腫瘍を認め, MRIにて胸腺脂肪腫が疑われた. 〔手術法〕頸部の襟状切開及び季肋部の横切開にて胸骨を吊り上げる. 5mmのAutosonixを用い両側より腫瘍摘出術を施行した. 一塊にして腹部切開創より摘出した. 腫瘍は硬く充実性で18×12×5cm, 560gの大きさであった. 手術時間は390分で出血量は500ccであった. 〔結果...
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Published in | 気管支学 Vol. 22; no. 7; p. 571 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本気管支学会
25.11.2000
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ISSN | 0287-2137 |
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Summary: | 〔目的〕我々は, 当院独自の吊り上げ法を用いた胸腔鏡下拡大胸腺摘出術を報告してきた. 今回本法を用いた巨大な胸腺脂肪腫切除例を経験したので報告する. 〔対象〕症例は33歳, 男性. 主訴は, 労作時呼吸困難及び胸部違和感であった. 胸部単純X線撮影にて, 前縦隔腫瘍を認め, MRIにて胸腺脂肪腫が疑われた. 〔手術法〕頸部の襟状切開及び季肋部の横切開にて胸骨を吊り上げる. 5mmのAutosonixを用い両側より腫瘍摘出術を施行した. 一塊にして腹部切開創より摘出した. 腫瘍は硬く充実性で18×12×5cm, 560gの大きさであった. 手術時間は390分で出血量は500ccであった. 〔結果〕両側胸腔ドレーンは, 3日で抜去し, 術後合併症なく7日目に退院した. 本術式の利点は5mmのポートを用いる為, 小さな傷ですみ, 術後疼痛が少ない. 腹部切開創を横に伸ばすだけで, 開胸せずに腫瘍を摘出できる. 胸骨を吊り上げる事により前縦隔が広く, 視野が確保できる. 欠点は, 正中切開に比べ手術時間が長い. 本術式の適応は, 腫瘍の大きさに関係なく胸腺腫であれば正岡分類の3期の肺, 心膜浸潤まで, 胸腺腫以外は, 両胸腔に及ぶ良性疾患等が適応となる. |
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ISSN: | 0287-2137 |