薬物血中濃度と薬効評価

TDM が病院薬学の重要な研究課題の一つとして取り上げられ, それが更に病院薬剤部におけるルーチン, ワークとして定着して以来はや10数年が経過した. TDM の目的は薬物療法における効果的な薬物投与と投与スケジュールを決定し, 更には標的器官での薬物濃度推移を推定することにより, より高い治療効果を求め併せて過剰投与, 副作用の発現を未然に防止することにある. 特に有効血中濃度と中毒濃度の幅が狭い薬物の投与に際しては必要不可欠とされている. 我々は抗生物質, 向精神薬, その他について TDM を実施し合理的な薬物療法にアプローチをするべく検討してきたのでその概要について述べる. 1. 成人...

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Published in病院薬学 Vol. 21; no. 2; pp. 209 - 213
Main Author 福地 坦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本病院薬学会 01.04.1995
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ISSN0389-9098

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Summary:TDM が病院薬学の重要な研究課題の一つとして取り上げられ, それが更に病院薬剤部におけるルーチン, ワークとして定着して以来はや10数年が経過した. TDM の目的は薬物療法における効果的な薬物投与と投与スケジュールを決定し, 更には標的器官での薬物濃度推移を推定することにより, より高い治療効果を求め併せて過剰投与, 副作用の発現を未然に防止することにある. 特に有効血中濃度と中毒濃度の幅が狭い薬物の投与に際しては必要不可欠とされている. 我々は抗生物質, 向精神薬, その他について TDM を実施し合理的な薬物療法にアプローチをするべく検討してきたのでその概要について述べる. 1. 成人および新生児でのトブラマイシン(TOB)投与 TOBが使用され始めたころの投与規定は常用量1回60mg筋注のみに限られていた. この投与量と外国文献によるそれとの差が大きいことに疑問を抱き, 成人患者と新生児について enzyme multiplied immunoassay technique(EMIT)で血中濃度測定を実施したところ, 大部分の例で有効血中濃度(4~10μg/ml)に達していないことが判明した.
ISSN:0389-9098