脳卒中リハビリテーションにおける構成障害の検出と意義について

「目的」立方体模写課題は構成障害の検出に用いられ, 視空間認知や運動プログラミングの異常を知ることができる. 我々は, 脳卒中患者の動作性IQを簡便に評価しうる方法として立方体模写課題を用い, 神経心理学的検査との関係を検討した. 「対象」肋卒中による右大脳半球損傷患者53名を対象とした. 年齢は16~79歳, 男性38名, 女性15名. 原因疾患は脳梗塞46名, 脳出血3名, その他4名で, 発症からの期間は平均1.6ヵ月であった. 「方法」立方体模写課題を用いて評価した. 構成能力を数値化し評価するため, 3辺の接点数, 軸誤数を用いた(Maeshima, 1997). 神経心理学検査はM...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 960
Main Authors 前島伸一郎, 上好昭孝, 松本朋子, 坊岡進一, 吉田宗人, 園部秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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Summary:「目的」立方体模写課題は構成障害の検出に用いられ, 視空間認知や運動プログラミングの異常を知ることができる. 我々は, 脳卒中患者の動作性IQを簡便に評価しうる方法として立方体模写課題を用い, 神経心理学的検査との関係を検討した. 「対象」肋卒中による右大脳半球損傷患者53名を対象とした. 年齢は16~79歳, 男性38名, 女性15名. 原因疾患は脳梗塞46名, 脳出血3名, その他4名で, 発症からの期間は平均1.6ヵ月であった. 「方法」立方体模写課題を用いて評価した. 構成能力を数値化し評価するため, 3辺の接点数, 軸誤数を用いた(Maeshima, 1997). 神経心理学検査はMini-mental state, かなひろいテスト, Word fluency,Raven’s colored progressive matrices,WAIS-R, 阪大式記憶尺度などを行った. 「結果」立方体模写の異常は, 53名中42名(79.2%)と大半に認められた. 神経心理検査と構成障害の関係をみると, 構成障害を認めた群は認めない群に比べ, Mini-mental state, かなひろいテスト, Raven’s CPM,WAIS-Rのいくつかの課題で有意な低下を認めた. 立方体模写を数量化した接点数, 軸誤数とWAIS-Rの関係をみると, full scale, 動作性IQと有意な相関を認めた. 「考察まとめ」立方体模写課題は大まかではあるが, 右大脳半球損傷者の非言語性知能を予測しうる可能性がある.
ISSN:0034-351X