心アミロイドーシスにおける臨床所見と病理所見の対比

心アミロイドーシスは難治性心不全や各種の不整脈, 心電図異常をきたし, 突然死や失神を起こすが, その刺激伝導系と自律神経を中心にして検討を加えた. 対象は14例, 年齢は45歳から93歳(平均69.6歳)で, 男9例, 女5例であった. 内訳は原発性8例, 骨髄腫に伴うもの4例, 続発性2例. 死因は心不全が7例と最も多く, 2例に突然死, 3例に突然の意識障害と心停止を認めた. 心電図は左脚前放線ブロック6例, 左脚後放線ブロック・洞房ブロック・III度房室ブロックが各2例, 完全左脚ブロック・完全右脚ブロック・PQ延長が各1例であった. 作業心筋標本および刺激伝導系の連続切片に対してH-...

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Published in心臓 Vol. 27; no. 7; pp. 609 - 616
Main Authors 斎藤司, 井上紳, 安藤治憲, 牧嶋信行, 沖浩佳, 片桐敬, 大塚敏彦, 太田秀一, 風間和男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 丸善 15.07.1995
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ISSN0586-4488

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Summary:心アミロイドーシスは難治性心不全や各種の不整脈, 心電図異常をきたし, 突然死や失神を起こすが, その刺激伝導系と自律神経を中心にして検討を加えた. 対象は14例, 年齢は45歳から93歳(平均69.6歳)で, 男9例, 女5例であった. 内訳は原発性8例, 骨髄腫に伴うもの4例, 続発性2例. 死因は心不全が7例と最も多く, 2例に突然死, 3例に突然の意識障害と心停止を認めた. 心電図は左脚前放線ブロック6例, 左脚後放線ブロック・洞房ブロック・III度房室ブロックが各2例, 完全左脚ブロック・完全右脚ブロック・PQ延長が各1例であった. 作業心筋標本および刺激伝導系の連続切片に対してH-E染色, Congored染色のほか, 抗Prealbumin抗体等を用いた免疫染色を施行した. 心重量は310gから610g. 作業心筋のアミロイド沈着は心筋細胞およびその周囲, 心筋内小動脈壁, 心内膜, 心外膜にみられ, 特に心内膜, 心内膜下の心筋間質および小動脈壁に多かった. また心不全例は間質の線維化が強い傾向であった. 伝導系組織のアミロイド沈着は軽微であるが, 洞結節には8例に沈着を認めた. 伝導系の組織所見は線維化, 途絶など多彩であり, 心電図所見に対応していた. 突然死や突然の意識障害, 心停止例では作業心筋および伝導系への沈着も他の症例に比較して高度で, アミロイドの神経周膜への沈着を認め, シュワン鞘あるいは神経内膜は抗Prealbumin抗体陽性であった. 急死および意識消失, 心停止の原因として高度のアミロイド沈着による刺激伝導系の障害に加えて自律神経支配異常の関与も示唆された.
ISSN:0586-4488