各種麻酔剤の聴性脳幹反応(ABR)に与える影響
吸入麻酔剤あるいは静脈内麻酔剤の, 聴性脳幹反応(ABR)に及ぼす影響について, 新しい吸入麻酔剤であるイソフルレン, セボフルレンを加えて, 比較検討したので報告する. <対象および方法>対象は18から65歳までのASA分類1および2で聴力正常の予定手術患者50例(男性18例, 女性32例)とした. 症例は使用麻酔剤により, A群:GOI, B群:GOS, C群:GOE, D群:GOF, E群:O-NLAとし各10例ずつ5群に分けた. なお対象群として, 聴力正常の無麻酔状態の10例についても測定した. 吸入麻酔群は, サイアミラール, ベクロニウムで導入し, 酸素2リットル/m...
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Published in | 蘇生 Vol. 10; p. 89 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
01.04.1992
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | 吸入麻酔剤あるいは静脈内麻酔剤の, 聴性脳幹反応(ABR)に及ぼす影響について, 新しい吸入麻酔剤であるイソフルレン, セボフルレンを加えて, 比較検討したので報告する. <対象および方法>対象は18から65歳までのASA分類1および2で聴力正常の予定手術患者50例(男性18例, 女性32例)とした. 症例は使用麻酔剤により, A群:GOI, B群:GOS, C群:GOE, D群:GOF, E群:O-NLAとし各10例ずつ5群に分けた. なお対象群として, 聴力正常の無麻酔状態の10例についても測定した. 吸入麻酔群は, サイアミラール, ベクロニウムで導入し, 酸素2リットル/min, 笑気4リットル/minで維持した. 各吸入麻酔剤の濃度を0~1.5MACとして測定した. O-NLA法は, ドロペリドール, フェンタニール, ベクロニウムで導入し, 酸素2リットル/min, 笑気4リットル/minで維持し, ABRを記録した. 測定の際, 導入前値に対し血圧は±20%以内, 体温は±0.5度以内. また動脈血酸素飽和度は98±2%, 終末呼気二酸化炭素濃度は40±5mmHgに調節した. 使用機材は, 日本光電製のNeuropack IIで, 単耳刺激, 刺激側誘導とし, 関電極を頭頂部に, 不関電極を耳後部に, 接地電極を前額部においた. 刺激音は, 音圧80dBのクリック音で, 刺激頻度10回/秒, 加算回数2,048回, 増幅器の周波数帯域は100~3kHz解析時間10msecとして記録した. 測定項目はI波, III波, V波の潜時および振幅, I~III波, III~V波, I~V波間潜時について検討した. <結果>吸入麻酔群では, 終末呼気麻酔濃度の上昇に伴い, III波, V波潜時の延長が認められ, III~V波, I~V波間潜時の延長が大であった. 各吸入麻酔剤による比較では, 同一MACで比較した結果, E>I>S>Fの順であり, 脳幹部への影響はエンフルレンにおいて最も強く, ハロセンで弱いことが示唆された. また振幅については, 濃度変化に伴う有意な変化を認めなかった. O-NLAでは濃度, 振幅とも有意な変化を認めなかった. |
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ISSN: | 0288-4348 |