当科における重症アナフィラキシー反応例の検討
昭和53年1月から昭和62年6月までの過去10年間に重症アナフィラキシー反応(収縮期血圧80mmHg以下あるいは重篤な呼吸困難症例)を呈しICUに入室した症例について検討した. 症例は14歳から85歳までの男性10例, 女性7例の計17例であった. 原因物質別にみてみると造影剤がもっとも多く4例で, 次いで抗生物質3例, 解熱鎮痛薬, ビタミン剤各2例, その他静注用蛍光物質, 鎮痙薬, 鶏卵, ハチ刺傷が各1例ずつであった. 年齢分布でとくに有意差は認められなかった. 初発症状では吐気・嘔吐および気分不快・全身倦怠感を半数近くに認め, 発疹・発赤, 呼吸困難・喘鳴も比較的多かった. 中には前...
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Published in | 蘇生 Vol. 6; pp. 97 - 98 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本蘇生学会
01.05.1988
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ISSN | 0288-4348 |
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Summary: | 昭和53年1月から昭和62年6月までの過去10年間に重症アナフィラキシー反応(収縮期血圧80mmHg以下あるいは重篤な呼吸困難症例)を呈しICUに入室した症例について検討した. 症例は14歳から85歳までの男性10例, 女性7例の計17例であった. 原因物質別にみてみると造影剤がもっとも多く4例で, 次いで抗生物質3例, 解熱鎮痛薬, ビタミン剤各2例, その他静注用蛍光物質, 鎮痙薬, 鶏卵, ハチ刺傷が各1例ずつであった. 年齢分布でとくに有意差は認められなかった. 初発症状では吐気・嘔吐および気分不快・全身倦怠感を半数近くに認め, 発疹・発赤, 呼吸困難・喘鳴も比較的多かった. 中には前駆症状がなくまもなく意識消失となりショック状態を呈した症例もあった. 初発症状までの発現時間と感作経路については17例中13例が10分以内の発症であり, とくに静脈内投与の場合すべて5分以内の発症であった. 30分以降の発症は経直腸例と経口例の2例のみだった. これらの症例のアレルギー既往の有無を調べてみると13例中10例に何らかの既往を有しており薬剤投与の際, 十分な問診をする必要がある. 死亡例は17例中3例あり, 30代, 60代, 80代に各1例ずつみられ, それぞれビタミンK, 抗生物質, BSPの静脈内投与によるものであった. このうち2例の剖検所見を検討すると, 共通していたのは急性心不全による各重要臓器のうっ血像および副腎の萎縮であった. われわれ麻酔科医はアナフィラキシー反応例に遭遇することが多いが今回の検討より, 迅速かつ適切な処置が行われなければ重篤な結果を招くこと, さらに既往歴の聴取が重要であることを改めて痛感した. |
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ISSN: | 0288-4348 |