当院における輸血後肝炎の発生状況

目的:輪血後肝炎の大部分を占めるのは, 非A非B肝炎であり, 輸血副作用の中では特に重要視されている. 89年12月より日本赤十字血液センターではC型肝炎に対する抗体スクリーニングが導入された. 導入前の発生状況を知ることは, スクリーニングの有用性および, C型肝炎ウイルスの感染状況を知るうえでも重要である. 今回当院における輸血後肝炎の発生状況を調査した. 方法:当院入院患者で, 原則的に輪血施行後週1回の間隔で, ALT(GPT)値を測定した. 判定基準は日本輪血学会の肝炎判定基準を用いた. 結果:対象症例は337例で, 表に輸血後肝炎の発症率を示した. 確診は40例(11.9%), 疑...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 2; p. 285
Main Authors 吉田真由美, 大塚志保, 梶谷佳代, 峯佳子, 阿波屋典子, 藤田往子, 金光靖, 椿和央, 堀内篤
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1990
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

More Information
Summary:目的:輪血後肝炎の大部分を占めるのは, 非A非B肝炎であり, 輸血副作用の中では特に重要視されている. 89年12月より日本赤十字血液センターではC型肝炎に対する抗体スクリーニングが導入された. 導入前の発生状況を知ることは, スクリーニングの有用性および, C型肝炎ウイルスの感染状況を知るうえでも重要である. 今回当院における輸血後肝炎の発生状況を調査した. 方法:当院入院患者で, 原則的に輪血施行後週1回の間隔で, ALT(GPT)値を測定した. 判定基準は日本輪血学会の肝炎判定基準を用いた. 結果:対象症例は337例で, 表に輸血後肝炎の発症率を示した. 確診は40例(11.9%), 疑診は44例(13.1%)であった. また, 確診例の累積肝炎発症率は12.8%であった. 輸血単位数別の肝炎発症率は確診例で, 輸血単位数1~10単位では7.8%, 11~20単位では13.4%, 21~30単位では12.5%, 31~40単位では31.3%, 41~50単位では23.5%, 51~100単位では20.0%であった. 輸血後肝炎確診症例のALT(GPT)最高値の平均値は505.6 IU/lで平均輸血単位数は23.2単位であった.
ISSN:0546-1448