当院での輸血適正化へむけての対処

輸血療法の適正化に関するガイドラインが制定され, トータルシステム化されている現状では, この通達が当院の輸血システムに及ぼした影響は大きく, 現状を報告する. 当院では, 院内採血が多い. 濃厚赤血球と新鮮凍結血漿との併用輸血が多い. 新鮮血は当日新鮮血. 特定科のC/T比が高い. 廃棄血液が多い. T&S, MSBOS導入には程遠い等, 各施設にも共通する問題が山積していた. これら諸問題を解決するため業務検討会を頻回開催し, 臨床との検討機会を作った. T&S, MSBOSに関しては, 麻酔科の協力により平成2年7月1日から導入し, 効率的運用がなされている. 管轄血液セ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 37; no. 2; p. 222
Main Authors 粟野文剛, 八木和世, 風間あきみ, 工藤波留美, 小本美奈, 冨永誠一, 石原昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1991
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ISSN0546-1448

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Summary:輸血療法の適正化に関するガイドラインが制定され, トータルシステム化されている現状では, この通達が当院の輸血システムに及ぼした影響は大きく, 現状を報告する. 当院では, 院内採血が多い. 濃厚赤血球と新鮮凍結血漿との併用輸血が多い. 新鮮血は当日新鮮血. 特定科のC/T比が高い. 廃棄血液が多い. T&S, MSBOS導入には程遠い等, 各施設にも共通する問題が山積していた. これら諸問題を解決するため業務検討会を頻回開催し, 臨床との検討機会を作った. T&S, MSBOSに関しては, 麻酔科の協力により平成2年7月1日から導入し, 効率的運用がなされている. 管轄血液センターの規模からも, 院内採血が多く, 特に血小板製剤は日赤購入より多かった. 院内採血は, 家族に精神的, 金銭的負担をかけるため, 極力日赤の血液製剤を使用するようにしているが血液センターでの成分採血率は低く, 未だ献血ルームを整備していない現状で, 3次救急指定の大学病院を管轄エリア内に2つも擁しているとは思えない対応に苦慮している. 濃厚赤血球と新鮮凍結血漿との併用輸血依頼時の対応策として, 「症状経過用紙」への理由記入により激減した. そして, 使用予定のない血液を期限内に返却しない場合も「処分判定書」の提出を義務づけ, 日赤返品血液, 院内破棄血液が減少し, 血液の有効利用, 適正化に近づきつつある. ガイドラインに則った輸血適正化には, 対血液センターとの問題点の占める割合が多く, 採血基準を緩和して, より血液を集めることも結構であるが, 血液センター側としても適正化のために, 供給先である病院の意見, 要望等を聞いて, 対話する機会を多く持つよう心がけてほしいものである. 使用する立場, 供給する立場, 両者協力してこそ, 院内で積極的に取り組めるガイドラインである.
ISSN:0546-1448