フォローアップ健診時における健康生活習慣の評価と今後のあり方

我々は, 政府管掌成人病予防健診の受診者に対し, 平成5年度よりフォローアップ健診を実施している. 今回, 脂質代謝の異常を指摘され, 生活習慣改善の健康教育を受けた受診者の生活習慣改善の状況と, 行動変容が脂質代謝に及ぼす影響について検討した. [対象・方法]平成7年度, 政府管掌成人病予防健診を受診し, 脂質代謝異常で1か月後の再検査, 6か月後のフォローアップ健診を受けた130名(男性102名, 女性28名)を対象にした. 一般健診時の「健康調査票」と, フォローアップ健診時の「生活習慣改善努力質問票」(いずれも受診者記述方式)から飲酒, ジュース, 菓子類, 喫煙, 運動の生活習慣の項...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 38; no. 5; p. 239
Main Authors 小原ひふみ, 小山和作, 小柳敦子, 河津佐和子, 中島好子, 古瀬章子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.09.1996
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ISSN1341-0725

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Summary:我々は, 政府管掌成人病予防健診の受診者に対し, 平成5年度よりフォローアップ健診を実施している. 今回, 脂質代謝の異常を指摘され, 生活習慣改善の健康教育を受けた受診者の生活習慣改善の状況と, 行動変容が脂質代謝に及ぼす影響について検討した. [対象・方法]平成7年度, 政府管掌成人病予防健診を受診し, 脂質代謝異常で1か月後の再検査, 6か月後のフォローアップ健診を受けた130名(男性102名, 女性28名)を対象にした. 一般健診時の「健康調査票」と, フォローアップ健診時の「生活習慣改善努力質問票」(いずれも受診者記述方式)から飲酒, ジュース, 菓子類, 喫煙, 運動の生活習慣の項目で「減った・やめた」「以前からとらない」「以前同様とっている」のいずれかを回答してもらった. 血清脂質の値は一般健診時とフォローアップ健診時とで比較した. また, 生活習慣が脂質代謝改善に与える影響をロジスティックモデルによる多変量解析で検討した. [結果](1)生活習慣の項目の中で, 改善がみられたのはジュースで43.8%, 続いて, 菓子類, 運動, 飲酒の順で, 一番改善がみられなかったのは喫煙で8.5%であった. (2)血清脂質の平均値を男女別で比較してみると, 男性では中性脂肪で有意に差がみられ, 改善がみられたが, 総コレステロール, HDLコレステロールではほとんど改善がみられなかった. 女性では総コレステロール, 中性脂肪, HDLコレステロールいずれも改善がみられなかった. (3)ロジスティックモデルを用いた血清脂質と生活習慣の関連については, 総コレステロールでは, 菓子類を減量したものが変化がないものに比べて改善する割合が高いとされた. 同様に, 中性脂肪では, 適量(週量10合)以上飲酒するものがしないものに比べて改善する割合が高いとされた. [まとめ]健康教育を実施していく上で, 継続的に保健行動が維持できるようサポートしていくことが重要であると考えられる. 今回, 生活習慣改善の評価を受診者自身の回答で行ったため, 今後, 客観的な評価を検討していくことが必要である.
ISSN:1341-0725