蘇生後冠動脈造影を施行した症例の検討

(目的)心肺停止患者(以下CPAOA)の原因として心筋梗塞が占める割合は高率である. 今回我々はCPAOAの患者で蘇生後緊急冠動脈造影(以下CAG)を行った症例において検討を行った. (対象・方法)平成10年1月1日から平成11年6月30日までのCPAOAで蘇生後, 原因疾患が冠動脈疾患と疑った症例(男性10例, 平均年齢62.5±15歳)に緊急冠動脈造影を施行し臨床像, 予後, 予後に及ぼす因子について検討した. (結果)最終診断は急性心筋梗塞(AMI)8例, 不安定狭心症(U-AP)1例, 有意狭窄認めない(Normal coronary)1例であった. 搬入時心電図は心室細動(Vf)4例...

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Published in蘇生 Vol. 18; no. 3; p. 265
Main Authors 鈴木克昌, 池田寿昭, 池田一美, 鈴木秀道, 島田靖, 内山隆史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 01.09.1999
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Summary:(目的)心肺停止患者(以下CPAOA)の原因として心筋梗塞が占める割合は高率である. 今回我々はCPAOAの患者で蘇生後緊急冠動脈造影(以下CAG)を行った症例において検討を行った. (対象・方法)平成10年1月1日から平成11年6月30日までのCPAOAで蘇生後, 原因疾患が冠動脈疾患と疑った症例(男性10例, 平均年齢62.5±15歳)に緊急冠動脈造影を施行し臨床像, 予後, 予後に及ぼす因子について検討した. (結果)最終診断は急性心筋梗塞(AMI)8例, 不安定狭心症(U-AP)1例, 有意狭窄認めない(Normal coronary)1例であった. 搬入時心電図は心室細動(Vf)4例, 電気収縮解離(EMD)1例, 心静止5例であった. AMI8例の責任病変は左前下行枝6例であり右冠動脈2例であった. 転帰は社会復帰例が3例(AMI2例, U-AP1例), 死亡7例(AMI6例, Normal coronary1例)であった. 社会復帰例(以下H群)死亡例(以下S群)の覚知から救急隊現場到着までの時間比較ではH群8.0±4.2分, S群8.8±1.6分であった. 平均年齢を比較するとH群59.3±24歳, S群は63.8±12.6歳とH群のほうが若かった. 搬送時間の比較ではH群36.6±10分, S群38.7±9.6分とH群のほうが短かった. AMIでの病変比較はH群では側副血行路が発達していたがS群に側副血行路を認めなかった. (結語)今回の検討では, 覚知から現場到着までの時間, 搬送時間による有意な差は認めなかった. 社会復帰例では, 年齢が若く, 側副血行路が発達していた.
ISSN:0288-4348