ラット耳下腺分泌顆粒膜由来Ca2+-非依存性ホスホリパーゼA2の可溶化とその性状

目的】我々は現在までにラット耳下腺分泌顆粒において膜結合性のCa2+-非依存性ホスホリパーゼA2(PLA2)を発見し, 膜結合状態における性状解析を行ってき右そこで今回は本酵の可溶化を試み, 可溶化画分を用いた性状解析を行った. 【方法】分泌顆粒はWistar系, 成熟, 雄性ラット耳下腺ホモジェネートからPercoll密度勾配遠心法を用いて単離した. 顆粒膜画分は低張条件下で凍結融解した分泌顆粒を300,0008で60分間遠心し, その沈渣を用いた. PLA2活性はsか2位脂肪酸鎖を放射標識したホスファチジルコリンを基質とし, Ca2+非存在下で遊離する脂肪酸の放射能から算出した. 各種抗体...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 42; no. 5; p. 488
Main Authors 神谷真子, 亀山泰永, 八代耕児, 藤田厚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 30.08.2000
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ISSN0385-0137

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Summary:目的】我々は現在までにラット耳下腺分泌顆粒において膜結合性のCa2+-非依存性ホスホリパーゼA2(PLA2)を発見し, 膜結合状態における性状解析を行ってき右そこで今回は本酵の可溶化を試み, 可溶化画分を用いた性状解析を行った. 【方法】分泌顆粒はWistar系, 成熟, 雄性ラット耳下腺ホモジェネートからPercoll密度勾配遠心法を用いて単離した. 顆粒膜画分は低張条件下で凍結融解した分泌顆粒を300,0008で60分間遠心し, その沈渣を用いた. PLA2活性はsか2位脂肪酸鎖を放射標識したホスファチジルコリンを基質とし, Ca2+非存在下で遊離する脂肪酸の放射能から算出した. 各種抗体に対する交差性はウエスタンブロット法により検討した. 【結果と考察】分泌顆粒膜画分の可溶化は, 0.5%TritonX-100を用いた場合が良好であり, タンパク質およびPLA2活性の上清(可溶化画分)への回収率はともに30%以上であった. 本可溶化画分中のPLA2は, 活性発現にCa2+を必要とせず, ATPによって活性化されるなど膜結合状態での特徴を保持していた. また, 本画分は抗IV型PLA2抗体と免疫学的交差性を示さず, Ca2+-依存性PLA2とはタンパク質的にも明らかに異なる酵素が可溶化されていることが確認できた. 【総括】 分泌顆粒由来Ca2+_非依存性PLA2は0.5%TritonX-100によって顆粒膜から効率的に可溶化され, かつ膜結合状態での性質を保持していた.
ISSN:0385-0137