成人に達した先天性無痛無汗症の1例

新生児期から無汗と原因不明の発熱を認め, 2歳時に無痛を指摘された. 5歳時の自律神経機能検査や神経・皮膚生検により診断が確定した. 8~17歳の間に当科で理学療法(筋力訓練・歩行訓練)を行った. 現在は22歳で健康である. 骨折:3~11歳で12回(下肢・10回, 上肢・2回)受傷したが, 以後は生じていない. 大腿骨骨折には手術を行い, 他の骨折には保存療法を行った. 現在は両股Charcot関節・両下腿外反変形・両足根骨扁平化・左外反肘と肘部管症候群・右月状骨軟化症を認める. 体重:Body mass index(kg/平方メートル)は小学校低学年で15~18, 高学年で20~23, 中...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; p. 1061
Main Authors 坪田聡, 山本恵子, 和田真, 馬場久敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:新生児期から無汗と原因不明の発熱を認め, 2歳時に無痛を指摘された. 5歳時の自律神経機能検査や神経・皮膚生検により診断が確定した. 8~17歳の間に当科で理学療法(筋力訓練・歩行訓練)を行った. 現在は22歳で健康である. 骨折:3~11歳で12回(下肢・10回, 上肢・2回)受傷したが, 以後は生じていない. 大腿骨骨折には手術を行い, 他の骨折には保存療法を行った. 現在は両股Charcot関節・両下腿外反変形・両足根骨扁平化・左外反肘と肘部管症候群・右月状骨軟化症を認める. 体重:Body mass index(kg/平方メートル)は小学校低学年で15~18, 高学年で20~23, 中学生で25前後, 高校生で26~28と増加し, 卒業後は28~30で安定している. 移動:能力的には杖歩行が可能であるが, 股関節脱臼・変形性股関節症の進行および転倒の予防のために5歳以後は車椅子生活である. 知能:6歳時の津守式幼児発達検査では運動年齢3歳, 言語年齢5歳と発達遅滞が見られた. 教育は養護学校の小学部~高等部で受けた. 21歳での田中ビネー発達検査では知能指数47と中等度の知的障害である. 行動:幼児期には多動が顕著で骨折や遷延治癒の原因となったが, 思春期以降は異常行動が減少し現在は問題ない. 自傷行為は爪噛みのみだった. 家庭・社会生活:身辺動作は自立しているが, 社会生活面では両親に大きく依存している. 学校卒業後は施設で軽作業に従事している. 母親が毎日一度, 全身をくまなく調べて異常の早期発見に努めている.
ISSN:0034-351X