心室期外収縮および心室頻拍基質に対するカテーテル焼灼術が奏功した心筋梗塞回復期electrical stormの1例

症例は69歳の女性. 前壁心筋梗塞回復期に2種類の心室期外収縮(premature ventricular contraction;PVC)をトリガーとする薬物治療抵抗性のelectrical stormとなり, カテーテルアブレーション治療を施行した. まずヒス束直下の左脚本幹および左脚後枝起源と考えられる2種類のPVCsに対して, 先行するプルキンエ電位を指標としてアブレーションを行い, それらの抑制に成功した. さらに, 左室基質マッピングにより前壁の瘢痕周囲を旋回するマクロリエントリー性心室頻拍(ventricular tachycardia;VT)が想定されたため, 前壁に位置する複...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 40; no. 8; pp. 717 - 723
Main Authors 佐藤陽子, 遠藤優枝, 吉田健太郎, 斉藤巧, 相原英明, 村越伸行, 関口幸夫, 久賀圭祐, 青沼和隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.08.2008
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488

Cover

More Information
Summary:症例は69歳の女性. 前壁心筋梗塞回復期に2種類の心室期外収縮(premature ventricular contraction;PVC)をトリガーとする薬物治療抵抗性のelectrical stormとなり, カテーテルアブレーション治療を施行した. まずヒス束直下の左脚本幹および左脚後枝起源と考えられる2種類のPVCsに対して, 先行するプルキンエ電位を指標としてアブレーションを行い, それらの抑制に成功した. さらに, 左室基質マッピングにより前壁の瘢痕周囲を旋回するマクロリエントリー性心室頻拍(ventricular tachycardia;VT)が想定されたため, 前壁に位置する複数の瘢痕をつなぐ線状焼灼を行った. しかし術4日後, 波形の異なる新たなVTが出現し2回目のアブレーションを試みた. このVTの頻拍回路上の峡部は左室心尖部に位置する瘢痕近くと判断されたため, 前回のアブレーション部位から心尖部下壁まで線状焼灼を延長したところ, 以後VTは誘発されなくなった. 心筋梗塞回復期に発生したelectrical stormのトリガーPVCとVT基質に対してカテーテルアブレーション治療が奏功した1例を報告する.
ISSN:0586-4488