股関節評価基準の検討

新しく改訂された日本整形外科学会股関節機能判定基準(以下, 新基準と略す)と従来用いられてきた変形性股関節症の判定基準(以下, 旧基準と略す)とを比較, 検討した. 対象は, 変形性股関節症30例60関節で, 両側罹患18例, 片側罹患12例, 平均年齢51.5歳である. 結果, 「総合点数」は旧基準平均86.5点が新基準平均84.3点に減少した. 項目別では, 「疼痛」「可動域」「歩行能力」では評価点数が低下する傾向を認め, これは新基準が, 股関節症だけではなく股関節機能を評価する目的で改訂されたことを反映したものと考えた. 「日常生活動作」では, 簡便化および生活様式の変化に対応した改訂...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 2; p. 134
Main Authors 大仲良仁, 宮本浩秀, 澤井一彦, 丹羽滋郎, 加藤文之, 安江由美子, 千鳥司浩, 日比野至
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.02.1996
Online AccessGet full text
ISSN0034-351X

Cover

More Information
Summary:新しく改訂された日本整形外科学会股関節機能判定基準(以下, 新基準と略す)と従来用いられてきた変形性股関節症の判定基準(以下, 旧基準と略す)とを比較, 検討した. 対象は, 変形性股関節症30例60関節で, 両側罹患18例, 片側罹患12例, 平均年齢51.5歳である. 結果, 「総合点数」は旧基準平均86.5点が新基準平均84.3点に減少した. 項目別では, 「疼痛」「可動域」「歩行能力」では評価点数が低下する傾向を認め, これは新基準が, 股関節症だけではなく股関節機能を評価する目的で改訂されたことを反映したものと考えた. 「日常生活動作」では, 簡便化および生活様式の変化に対応した改訂がなされたが, 両基準間で評価点数の明らかな差を認めなかった. 新基準の問題点としては, 実用可動域を超えた屈曲角度を満点としていること, 追加となった項目の配点, すなわち重みづけの根拠が明らかでないことがあげられ, 再検討の余地が残るとも考えられた.
ISSN:0034-351X