パソコン処理による東洋医学的診断と良導絡チャート
東洋医学の診断において四診(望, 聞, 問, 切)は最も重要な情報源であり, これらの情報を総括し, さらに総合的に分析して「証」が決定される. そこで, この情報をパソコンに入力して統計処理をおこない, 東洋医学的診断のうち八綱弁証と臓腑弁証などができるソフトを作製した. 今回は, これらの弁証の結果と良導絡での興抑判定結果について比較検討を行った. 【方法】 対象は1999年2月から6月までに関西鍼灸短期大学付属診療所鍼灸治療部に初診で来院した患者の男女25名で, 全身にわたる約60の問診と痛みの性質, 疼痛部位に関する質問, 顔色, 舌などの望診, 簡単な脈状診や腹診などによる切診をおこ...
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Published in | 日本鍼灸良導絡医学会誌 Vol. 27; no. 4; p. 25 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本良導絡神経学会
01.09.1999
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0286-1631 |
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Summary: | 東洋医学の診断において四診(望, 聞, 問, 切)は最も重要な情報源であり, これらの情報を総括し, さらに総合的に分析して「証」が決定される. そこで, この情報をパソコンに入力して統計処理をおこない, 東洋医学的診断のうち八綱弁証と臓腑弁証などができるソフトを作製した. 今回は, これらの弁証の結果と良導絡での興抑判定結果について比較検討を行った. 【方法】 対象は1999年2月から6月までに関西鍼灸短期大学付属診療所鍼灸治療部に初診で来院した患者の男女25名で, 全身にわたる約60の問診と痛みの性質, 疼痛部位に関する質問, 顔色, 舌などの望診, 簡単な脈状診や腹診などによる切診をおこない, それらの情報を入力した. その結果は八綱弁証と臓腑弁証などの符合率が%で表示できる. 同時にノイロメ一夕ーAD型で良導絡測定をおこない, 中谷の方法に従い, 臨床的な興奮, 抑制の良導絡を求めた. 【結果および考察】 患者25名の八綱弁証結果は表証17名・裏証8名, 寒証17名・熱証8名(うち実熱2名・虚熱6名), 虚証24名(うち気虚10名・陽虚9名・血虚2名・陰虚3名)・実証1名となり, 表寒虚証が12名と最も多く, 裏寒虚証5名, 表熱虚証5名などが多かった. また, 臓腑弁証では第1選択では腎の異常が11名と最も多く, 心が5名, 肺が5名などで, 第2選択では腎の異常が9名, 肺が6名, 心が4名, 肝が4名となり, 第1選択と第2選択を合わせては腎の異常が20名と最も多く, 肺が11名, 心が9名となった. 一方, 良導絡測定の結果ではF3(腎)抑が15名と最も多く, F5(胆)抑が11名, H5(三焦)興が10名などが多かった. 臓腑では腎の異常で虚証のものが20名と圧倒的に多かったが, そのうちでF3(腎)抑を示すものが12名あり, これらの関連の可能性が示唆される結果となった. 【結論】 患者25名の弁証と良導絡測定の結果を比較した. 1)表寒虚証が最も多かった. 2)腎の異常が最も多く, 肺, 心などが多かった. 3)良導絡測定ではF3(腎)抑が最も多く, F5(胆)抑, H5(三焦)興などが多かった. |
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ISSN: | 0286-1631 |