村田論文に対するEditorial Comment

頭蓋内感染性動脈瘤は感染性心内膜炎症例の1~5%に生じ(おそらく過小評価), 約半数でStreptococcusが起炎菌とされ, (1)微小感染性塞栓に続発する血管炎, 壁破壊, (2)vasa vasorum経由の血管壁への菌播種, が発生機序として想定されている. これは頭蓋内出血といわば「隣り合わせ」となる, きわめて憂慮すべき状況であり, 致命率も60%と高い1). 全身ヘパリン化する人工心肺手術の術中以外に, 人工弁症例や補助人工心臓の感染で, 十分に抗凝固療法がなされていたために致死的頭蓋内出血を来す症例にも遭遇する. 感染性動脈瘤は感染の活動性と密接な関連があるので, 原疾患治療...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 37; no. 10; pp. 856 - 857
Main Authors 今中和人, 許 俊鋭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.10.2005
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488

Cover

More Information
Summary:頭蓋内感染性動脈瘤は感染性心内膜炎症例の1~5%に生じ(おそらく過小評価), 約半数でStreptococcusが起炎菌とされ, (1)微小感染性塞栓に続発する血管炎, 壁破壊, (2)vasa vasorum経由の血管壁への菌播種, が発生機序として想定されている. これは頭蓋内出血といわば「隣り合わせ」となる, きわめて憂慮すべき状況であり, 致命率も60%と高い1). 全身ヘパリン化する人工心肺手術の術中以外に, 人工弁症例や補助人工心臓の感染で, 十分に抗凝固療法がなされていたために致死的頭蓋内出血を来す症例にも遭遇する. 感染性動脈瘤は感染の活動性と密接な関連があるので, 原疾患治療と相侯って強力な抗菌治療が必須であるが, 感染制御の成否は必ずしも予測可能でない上, 抗菌治療が十分でも20%程度, 報告によってはそれ以上の頻度で感染性動脈瘤は破裂する2)~4). 破裂性あるいは治療抵抗性の動脈瘤に対しては脳血管治療を行う, それも極力心臓手術に先行させる, というのがおおむねのコンセンサスだが1), 非破裂症例の治療ストラテジーは議論のあるところである.
ISSN:0586-4488