矯正治療後の咀嚼運動経路の変化について Angle I級叢生例
本研究の目的は, 矯正治療の咀嚼運動への影響を検討することである.被験者として矯正治療前後のAngle I級叢生患者10名および正常者例として機能的にも形態的にも正常と考えられる個性正常咬合を有する20名を用いた.各被験者についてガム咀嚼時の咀嚼運動をMKGで記録し, その後咀嚼運動自動分析システムを用いて比較, 検討を加えた.咀嚼運動経路の評価指標には, 開口量, 運動経路の安定性を表す開口時側方成分, 閉口時側方成分, 垂直成分の各標準偏差を開口量で徐算する指標standard deviation/opening distance (SD/OD) を用いた.その結果, 矯正治療後の咀嚼運動...
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Published in | 日本顎口腔機能学会雑誌 Vol. 1; no. 2; pp. 243 - 248 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本顎口腔機能学会
31.03.1995
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ISSN | 1340-9085 1883-986X |
DOI | 10.7144/sgf.1.243 |
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Summary: | 本研究の目的は, 矯正治療の咀嚼運動への影響を検討することである.被験者として矯正治療前後のAngle I級叢生患者10名および正常者例として機能的にも形態的にも正常と考えられる個性正常咬合を有する20名を用いた.各被験者についてガム咀嚼時の咀嚼運動をMKGで記録し, その後咀嚼運動自動分析システムを用いて比較, 検討を加えた.咀嚼運動経路の評価指標には, 開口量, 運動経路の安定性を表す開口時側方成分, 閉口時側方成分, 垂直成分の各標準偏差を開口量で徐算する指標standard deviation/opening distance (SD/OD) を用いた.その結果, 矯正治療後の咀嚼運動は, 個性正常咬合者の正常域に近づく傾向を有し, 矯正治療前後の比較では, 開口量においては矯正治療後に高度に有意な増加が, 開口時側方成分のSD/ODにおいては, 矯正治療後に有意な減少が, そして垂直成分のSD/ODにおいては, 高度に有意な減少がそれぞれ認められた. 本研究から矯正治療による形態的不正の改善が咀嚼運動経路の改善にも明らかに影響を与えているものと考えられた. |
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ISSN: | 1340-9085 1883-986X |
DOI: | 10.7144/sgf.1.243 |