ポリクローナル抗体とモノクローナル抗体との反応が乖離したweakDの症例

「目的」 抗原量の少ないRho(D)(weakD)を判定する場合, 市販の抗D血清は必ずしも一定の反応を示すとは限らない. 今回Rho(D)の判定で, ポリクローナル抗D(ポリ抗D)で陰性, モノクローナル抗D(モノ抗D)で陽性の反応を示したweakDの例を経験したので報告する. 「症例」 32歳の妊婦. 妊娠歴1回. 5歳時にFallw四徴の手術をうけ, 輸血歴有り. 妊娠の継続を希望し当院産婦人科外来を受診したが, 血液型判定において上記のような反応が出たので以下の検討を行った. 「方法」 使用した抗血清は, ポリ抗Dがオーソバイオクローン抗Dとガンマ抗D血清. モノ抗Dがガンマクローン抗...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 47; no. 2; p. 227
Main Authors 大友直樹, 永井香織, 梶原道子, 小松文夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.2001
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ISSN0546-1448

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Summary:「目的」 抗原量の少ないRho(D)(weakD)を判定する場合, 市販の抗D血清は必ずしも一定の反応を示すとは限らない. 今回Rho(D)の判定で, ポリクローナル抗D(ポリ抗D)で陰性, モノクローナル抗D(モノ抗D)で陽性の反応を示したweakDの例を経験したので報告する. 「症例」 32歳の妊婦. 妊娠歴1回. 5歳時にFallw四徴の手術をうけ, 輸血歴有り. 妊娠の継続を希望し当院産婦人科外来を受診したが, 血液型判定において上記のような反応が出たので以下の検討を行った. 「方法」 使用した抗血清は, ポリ抗Dがオーソバイオクローン抗Dとガンマ抗D血清. モノ抗Dがガンマクローン抗Dとセラクローン抗Dで, 「日臨技輸血検査標準法」と「輸血部検査マニュアル」に従って検査を実施した. 「結果」 ABOはB型, RhはC(+)e(+), 不規則性抗体と直接抗グロブリン試験は陰性であった. Rho(D)型は, ポリ抗Dでは直後および加温後判定が陰性だったのでD^u 試験を行ったところ4+となり, 被凝集価は128倍であった. 一方モノ抗Dとの反応では直後判定が2+, 被凝集価が512倍で, 両者に直後および加温後判定の乖離を認めた. 被凝集価が高いことからD^u は否定的であった. 「考察」 当輸血部では被凝集価32倍以下をD^u , それ以上をweakDとしているが, 過去3年間にD^u は2例, weakDは3例認めている. それらは直後および加温時の判定はいずれも陰性またはごく弱い陽性で, 被凝集価に違いを示したのでD^u またはweakDと判定した. 今回の例は, ポリ抗Dとモノ抗Dの違いから見つかったDの異常反応例で, 上記の区分でいえばweakDに分類される. 以上より, D陰性の例についてはD^u 試験と同時に, 異なる特性の試薬を用いて直後あるいは加温後の判定を再度行ってみる必要性を感じた.
ISSN:0546-1448