上腕骨小結節骨折の1例

【目的】上腕骨近位部骨折のなかでも,比較的稀な小結節骨折の1例を経験したので報告する.【症例】症例は63歳,男性.シートベルト非装着にて,軽自動車走行中に電柱に衝突.受傷後3日目に当科を紹介受診.受診時,左肩関節前方に圧痛および運動時痛を認めた.単純X線では,前後像では骨折は明瞭ではなかったが,軸射像にて小結節の裂離骨折を認めた.CTでは,肩閲節の後方脱臼は認めなかったが,肩甲骨後外方の小骨折を認めた.受傷後7日目,前方進入によるcancellous screw2本を用いた観血的骨接合術を行なった.【考察】小結節の解剖学的特徴から直達外力によるものは少なく,今回の症例も肩関節過外旋肢位を強制さ...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 46; no. 2; p. 554
Main Authors 田中信博, 田中憲治, 吉田拓也, 脇岡徹, 佐藤直人, 浅倉敏明, 井上博, 吉田健治, 井上明生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.1997
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Summary:【目的】上腕骨近位部骨折のなかでも,比較的稀な小結節骨折の1例を経験したので報告する.【症例】症例は63歳,男性.シートベルト非装着にて,軽自動車走行中に電柱に衝突.受傷後3日目に当科を紹介受診.受診時,左肩関節前方に圧痛および運動時痛を認めた.単純X線では,前後像では骨折は明瞭ではなかったが,軸射像にて小結節の裂離骨折を認めた.CTでは,肩閲節の後方脱臼は認めなかったが,肩甲骨後外方の小骨折を認めた.受傷後7日目,前方進入によるcancellous screw2本を用いた観血的骨接合術を行なった.【考察】小結節の解剖学的特徴から直達外力によるものは少なく,今回の症例も肩関節過外旋肢位を強制されての受傷と思われた.これまでの報告では,保存治療,観血的治療のいづれにおいても外旋障害は必発であり,この症例も術後3カ月の時点で,外旋は60度と軽度の可動域制限を認めた.これからの経過観察が必要と思われた.
ISSN:0037-1033