トロンボポエチンによる使用期限後の濃厚血小板の機能回復について
【目的】トロンボポエチン(TPO)は, それ自身は血小板を活性化しないが, アゴニストによる血小板凝集を亢進させることが知られている. 我々はその作用に着目し, 機能低下している使用期限後の血小板に対するTPOの影響を調べ, 血小板機能保存における可能性について検討した. 【方法】CS3000を用いてアフェレーシスによる濃厚血小板を健常人より採取し, ポリオレフィンバッグにて24℃振とうの状態で保存し, 検体とした. 採取当日, 72時間保存後, 120時間保存後の多血小板血漿をADP, コラーゲン(各3濃度)ADP+コラーゲンで刺激し凝集を測定した. TPOはrh-TPO(キリンビール(株)...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 266 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1997
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】トロンボポエチン(TPO)は, それ自身は血小板を活性化しないが, アゴニストによる血小板凝集を亢進させることが知られている. 我々はその作用に着目し, 機能低下している使用期限後の血小板に対するTPOの影響を調べ, 血小板機能保存における可能性について検討した. 【方法】CS3000を用いてアフェレーシスによる濃厚血小板を健常人より採取し, ポリオレフィンバッグにて24℃振とうの状態で保存し, 検体とした. 採取当日, 72時間保存後, 120時間保存後の多血小板血漿をADP, コラーゲン(各3濃度)ADP+コラーゲンで刺激し凝集を測定した. TPOはrh-TPO(キリンビール(株)より供与)をfinal50ng/mlの濃度で使用し72時間後, 120時間後の検体に, 測定5分前もしくは1時間前に添加し37℃でインキュベーションした. 【結果】1)ADP刺激(2, 4, 8μM)では, 72時間後の血小板であってもTPO添加により採取当日とほぼ同程度の凝集能を示した. 120時間後であっても, TPOを加えると72時間後血小板(TPO無添加)と同じレベルまで凝集した. 2)コラーゲン刺激(1, 2, 4μg/ml)では, 2もしくは4μg/mlによる刺激の場合には, 72時間後血小板(TPO添加)でも採取当日の血小板に匹敵する凝集能を認めたが, 120時間後血小板(TPO添加)では4μg/ml加えた場合のみ強い凝集がみられた. 3)ADP2μM+コラーゲン2μg/ml刺激では120時間後の血小板(TPO添加)でも採取当日同様の凝集を認めた. 4)TPO添加5分後測定と1時間後測定では凝集能に差はみられなかった. 【考察】TPOは実用化された場合に血小板輸血を減少させることが期待されているが, 血小板のポテンシャルを高める性質を利用し, 保存による血小板製剤の機能低下の改善や使用期限延長に役立つ可能性もあると考えられた. |
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ISSN: | 0546-1448 |