カフなし気切カニューレの位置異常で頻回の吸痰を要した1例

髄膜炎後遺症で寝たきり気切状態在宅加療中の50歳代男性. カフなし2重管タイプ気切チューブで, 2ヵ月前から多い時で10分毎の吸痰が必要となった. CT矢状断面で気切チューブが腹側へずれており, 先端の不良肉芽により吸痰がスムーズに行えなかったと推測された. 気切チューブをカフおよび唾液吸引用サイドチューブ付きで太いものに変更し, 吸痰回数が激減した. 11日後の気管支鏡ではカフなし気切チューブの先端付近で圧迫されてできたと思われる潰瘍を気管右前壁に認め, 不良肉芽の著明なものは認めず, カフなし気切チューブの先端が潰瘍の足側端を押し上げて土手状になった所をCTで捉えたものと考えた. 気切チュ...

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Published in気管支学 Vol. 30; no. 4; pp. 235 - 236
Main Authors 市橋匠, 飯田茂穂, 佐藤裕英, 林泰生, 森川充洋, 渡辺剛史, 竹内香代, 木船孝一, 西耕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 25.07.2008
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ISSN0287-2137

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Summary:髄膜炎後遺症で寝たきり気切状態在宅加療中の50歳代男性. カフなし2重管タイプ気切チューブで, 2ヵ月前から多い時で10分毎の吸痰が必要となった. CT矢状断面で気切チューブが腹側へずれており, 先端の不良肉芽により吸痰がスムーズに行えなかったと推測された. 気切チューブをカフおよび唾液吸引用サイドチューブ付きで太いものに変更し, 吸痰回数が激減した. 11日後の気管支鏡ではカフなし気切チューブの先端付近で圧迫されてできたと思われる潰瘍を気管右前壁に認め, 不良肉芽の著明なものは認めず, カフなし気切チューブの先端が潰瘍の足側端を押し上げて土手状になった所をCTで捉えたものと考えた. 気切チューブの先端付近が気管前壁の一定の場所に当たり続けることによる潰瘍化, 気切孔が瘢痕収縮することによるチューブの可動性の減少, の両者が促進し合って本件が発生したと考えた. 気切チューブに関するトラブルでは, CTの矢状断や3D画像が有用である.
ISSN:0287-2137