Actinomyces viscosusのLevanaseについて

Levanは口腔細菌の産生する菌体外多糖の一つであり, 歯垢細菌の栄養源として作用し, 酸産生に関与するとともに, 免疫学的にも歯周疾患に関連し, 重要な役割を果たしていると考えられる. Actinomyces viscosusはLevan産生菌であるとともに分解菌でもあり, ことにその分解酵素についてはいまだ十分明らかにされていないので, A.viscosus ATCC 19246株由来のLevan分解酵素を精製し, その性状を調べた. [方法]1菌体をCO_2 の存在下, Trypticase Soy broth-Yeast extract-1%Sucroseを含む液体培地中で48時間培養...

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 6; no. 2; pp. 202 - 203
Main Authors 五十嵐武, 山本綾子, 江藤由美子, 岸雅彦, 鷹森健志郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 01.09.1986
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Summary:Levanは口腔細菌の産生する菌体外多糖の一つであり, 歯垢細菌の栄養源として作用し, 酸産生に関与するとともに, 免疫学的にも歯周疾患に関連し, 重要な役割を果たしていると考えられる. Actinomyces viscosusはLevan産生菌であるとともに分解菌でもあり, ことにその分解酵素についてはいまだ十分明らかにされていないので, A.viscosus ATCC 19246株由来のLevan分解酵素を精製し, その性状を調べた. [方法]1菌体をCO_2 の存在下, Trypticase Soy broth-Yeast extract-1%Sucroseを含む液体培地中で48時間培養後, その遠心上清(13.8リットル)に硫酸アンモニウムを70%飽和に加え, 生じた沈殿をDEAE-CelluIose, SephadexG-100, Hydroxylapatite, Bio-GelA1.5mの順でイオン交換クロマトとゲル濾過をくり返し, Levan分解酵素の精製を行った. 活性測定は, Streptococus salivarius由来のLevan(β-2,6-fructan)を基質とし, 37℃, 60分間反応後, 遊離した還元糖の量をSomogyi-Nelson法により測定した. [結果と結論]本酵素は11%の収率で3,700倍にまで精製され, SDS-PAGEを用いた解析では, 還元・非還元の両方の条件下で1本のバンドが認められ, その分子量は89,000と測定された. 基質特異性を検討したところ, Levan(β-2,6-fructan)を強く分解し, Inulin(β-2,1-fructan)とDextran(α-1,6-glucan)はまったく分解しなかった. Sucrose, Raffinose, Melezitose等のβ結合を有するオリゴ糖に対しても分解活性を示さなかった. Levan分解活性は, Hg^2+ , Ba^2+ , Zn^2+ , Fe^3+ , EDTAの存在下で阻害され, EDTAによる阻害は, Ca^2+ またはMg^2+ の添加により回復した. また至適温度は45℃, 至適pHは6. 0を示した. すでに報告されたS. Salivariusと比較したところ, 基質特異性以外に共通点は認められなかった. これらの結果から, 本酵素はLevan(β-2,6型fructan)に特異的な菌体外酵素(Levanase)であることが示された.
ISSN:0285-922X