進行卵巣癌に対するneoadjuvant療法としての末梢幹細胞移植併用周期的semi-high dose化学療法の臨床効果
【目的】卵巣癌は発見時にはIII期以上に進行している症例が半数以上を占め予後不良の疾患である. 進行卵巣癌に対して(残存)腫瘍を縮小させ再手術を施行する方法が一定の効果をあげているが, その時期に大量化学療法をneoadjuvantとして用いる報告はほとんどされていない. また, 安全性を確保しながらいかにdose-intensityを達成するか, 無菌室管理, 患者のQOL改善等の問題が残されている. そこで, 我々は, neoadjuvantとしても積極的に利用するために末梢幹細胞移植(以下PBSCT)を併用しsemi-high dose化学療法を周期的に行ってきた. その臨床効果について...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 212 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1999
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】卵巣癌は発見時にはIII期以上に進行している症例が半数以上を占め予後不良の疾患である. 進行卵巣癌に対して(残存)腫瘍を縮小させ再手術を施行する方法が一定の効果をあげているが, その時期に大量化学療法をneoadjuvantとして用いる報告はほとんどされていない. また, 安全性を確保しながらいかにdose-intensityを達成するか, 無菌室管理, 患者のQOL改善等の問題が残されている. そこで, 我々は, neoadjuvantとしても積極的に利用するために末梢幹細胞移植(以下PBSCT)を併用しsemi-high dose化学療法を周期的に行ってきた. その臨床効果について報告する. 【方法】対象は同意を得たIII期以上の卵巣癌患者21例. 初回は幹細胞動員療法としてCBDCA(以下J剤):AUC4.5~5.5とEtoposide(以下E剤):400~500/平方メートルを投与し, CD34を指標に幹細胞を採取した. 2回目からはsemi-high dose化学療法として, 標準療法の約2~2.5倍のJ剤:AUC8.0~9.5とE剤:1050~1350/平方メートルを投与した後, 保存してあった幹細胞を分割して移植した. ひとりの患者につき標準的には残存腫瘍, 播種のある時期にneoadjuvantとして2回, さらに再手術後残存腫瘍を可能な限り摘出し2~3回semi-high dose化学療法を周期的に行った. 尚, 初回動員で幹細胞採取数が予定数に達しなかった場合には2回目のsemi-high dose化学療法時に幹細胞を採取した. 【結果/考案】周期的な治療でdose-intensityを達成する事が出来た. 骨髄抑制により約半数で治療後の末梢白血球数は1000/mm 3以下となったが, 平均6.2×10 6/KgのCD34陽性細胞の移植により重篤な感染症は1例も認めず, 無菌室管理の必要性はなかった. しかし, 約6割の治療コースにおいて血小板輸血が必要となった. 再手術所見等により判定した本法の奏功率は76%(CR14例, PR2例, NC4例)であった. また, 低分化型腺癌症例においては標準化学療法と比較して有意に4年生存率は改善していた. 従って, 本法は一般病床で安全に施行できる療法であり, neoadjuvant therapyとして用いることが初回奏功率の向上となり, 長期予後の改善につながる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0546-1448 |