中大脳動脈本幹(M1)動脈瘤の特徴と外科的治療の注意点

中大脳動脈本幹部(M1)動脈瘤は中大脳動脈瘤の10%程度にみられる比較的まれな動脈瘤とされている2)3)10). しかしながら, 脳ドックの普及に伴い未破裂動脈瘤として経験することが多くなっている. M1動脈瘤は, 比較的容易にアプローチできる. しかし, 通常の中大脳動脈分岐部動脈瘤に比ベレンズ核線条体動脈(LSA)領域の梗塞を合併する頻度が高いため, 手術にさいして注意を要する. 本稿では, われわれが経験した14例のM1動脈瘤患者の臨床像と動脈瘤の特徴について検討する. 1995年1月から2000年3月に当科で外科的に治療した内頸動脈分岐部から中大脳動脈のterminal bifurca...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 29; no. 3; pp. 192 - 195
Main Authors 柏木史郎, 加藤祥一, 師井淳太, 北原哲博, 米田浩, 白尾敏之, 秋村龍夫, 鈴木倫保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本脳卒中の外科学会 31.05.2001
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ISSN0914-5508

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Summary:中大脳動脈本幹部(M1)動脈瘤は中大脳動脈瘤の10%程度にみられる比較的まれな動脈瘤とされている2)3)10). しかしながら, 脳ドックの普及に伴い未破裂動脈瘤として経験することが多くなっている. M1動脈瘤は, 比較的容易にアプローチできる. しかし, 通常の中大脳動脈分岐部動脈瘤に比ベレンズ核線条体動脈(LSA)領域の梗塞を合併する頻度が高いため, 手術にさいして注意を要する. 本稿では, われわれが経験した14例のM1動脈瘤患者の臨床像と動脈瘤の特徴について検討する. 1995年1月から2000年3月に当科で外科的に治療した内頸動脈分岐部から中大脳動脈のterminal bifurcationまでの部分に発生した動脈瘤14個(14例)を対象とした. 男性9例, 女性5例で, 年齢は5から70歳で(平均50歳)であった. 10例が未破裂動脈瘤で, このうち2例は破裂動脈瘤に合併したもの, 他の8例は脳ドックで発見されたものであった. 他の4例はM1動脈瘤の破裂によるくも膜下出血で発症した. 症例の年齢分布と発症形式をFig. 1に示す. このうち小児例は5歳男児に発生した解離性動脈瘤であった. 多発動脈瘤が3例(21%)にみられた. 動脈瘤の大きさは2から13mmで平均6mmであった. 中大脳動脈本幹の上壁から発生していたもの(superior wall type)が10個, 下壁から発生していたもの(inferior wall type)が3個, 後壁(posterior wall type)から発生したものが1個であった(Fig. 2). 各タイプの脳血管撮影を呈示する(Fig. 3-6).
ISSN:0914-5508