多発性筋炎・皮膚筋炎に合併した間質性肺炎におけるBAL所見の臨床的有用性

多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)における間質性肺炎(IP)は生命予後を左右する重要な合併症の1つとされる. PM/DMに合併する間質性肺炎(PM/DM-IP)の発症様式・臨床経過, 画像所見, 病理組織型, 治療反応性, および予後は極めて多彩であるとされ, これらの関連を知ることは臨床上有益であると考えられる. 熊本大学第1内科で経験したPM/DM確診24例について, BAL所見を含めた臨床的検討を行った. 間質性肺炎の合併は16例(66.7%)にみられ, 内訳はUIP2例, NSIP6例, BOOP4例, DAD4例であった. 間質性肺炎の発症と筋症状の強弱, CPK/LDH値とには明...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 21; no. 7; p. 508
Main Authors 彌永和宏, 山本太郎, 一安秀範, 一門和哉, 岡本竜哉, 松本充博, 興梠博次, 菅守隆, 安藤正幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.11.1999
Online AccessGet full text
ISSN0287-2137

Cover

More Information
Summary:多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)における間質性肺炎(IP)は生命予後を左右する重要な合併症の1つとされる. PM/DMに合併する間質性肺炎(PM/DM-IP)の発症様式・臨床経過, 画像所見, 病理組織型, 治療反応性, および予後は極めて多彩であるとされ, これらの関連を知ることは臨床上有益であると考えられる. 熊本大学第1内科で経験したPM/DM確診24例について, BAL所見を含めた臨床的検討を行った. 間質性肺炎の合併は16例(66.7%)にみられ, 内訳はUIP2例, NSIP6例, BOOP4例, DAD4例であった. 間質性肺炎の発症と筋症状の強弱, CPK/LDH値とには明らかな関連はなかった. 急性発症・急性増悪例のDADパターンの間質性肺炎は, PM/DM両疾患群(PM:DM=2/10:2/6)でみられ, 治療抵抗性で予後不良であった. PM-BOOPパターンの間質性肺炎ではBAL中リンパ球の増加とCD4/8比の低下がみられ, 全例がステロイド治療に良く反応した. 半数でステロイド減量中に再発がみられたが再治療の反応性も初回治療と同様に良好であった. NSIPパターンの間質性肺炎のうち, DM症例で, かつ, BAL中リンパ球サブセットのCD4/8比が高いものは治療抵抗性であり予後不良であった. 以上より, PM/DMに合併する間質性肺炎は, その病型や治療反応性が極めて多彩であり, また, PM/DMのDADパターンの症例に加え, DMのNSIPパターンの一部の症例は治療抵抗性であり注意を要すると考えられた.
ISSN:0287-2137