十二指腸乳頭部癌を合併した蛋白漏出性胃腸症の1例
症例は39歳の女性. 主訴は貧血と低蛋白血症. 盲腸のポリープに対して回盲部切除の既往と, 母親に上行結腸癌の家族歴がある. 1998年より, 蛋白漏出性胃腸症の診断で当院内科で治療をしていた. 2000年9月になり, 主訴が著明になったため上部消化管内視鏡検査を施行したところ, 十二指腸乳頭部に腫瘤を認め, 生検の結果, 高分化型腺癌の診断となり, 同年10月に外科転科となった. 上部消化管内視鏡検査で, 胃粘膜には前庭部を中心に過形成性ポリポーシスが認められた. 99mTcヒト血清アルブミンを用いて施行したシンチグラフィーでは, 上部消化管からの蛋白漏出を示唆する所見を得た. 以上より,...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 51; no. 3; p. 221 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.05.2001
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 症例は39歳の女性. 主訴は貧血と低蛋白血症. 盲腸のポリープに対して回盲部切除の既往と, 母親に上行結腸癌の家族歴がある. 1998年より, 蛋白漏出性胃腸症の診断で当院内科で治療をしていた. 2000年9月になり, 主訴が著明になったため上部消化管内視鏡検査を施行したところ, 十二指腸乳頭部に腫瘤を認め, 生検の結果, 高分化型腺癌の診断となり, 同年10月に外科転科となった. 上部消化管内視鏡検査で, 胃粘膜には前庭部を中心に過形成性ポリポーシスが認められた. 99mTcヒト血清アルブミンを用いて施行したシンチグラフィーでは, 上部消化管からの蛋白漏出を示唆する所見を得た. 以上より, 胃粘膜からの蛋白漏出による蛋白漏出性胃腸症と十二指腸乳頭部癌と診断し, 2000年11月に過形成性ポリープの多かった遠位側広範囲胃切除を含む膵頭十二指腸切除術を施行した. 術後の経過は良好で, 貧血と低蛋白血症の改善が認められた. 蛋白漏出性胃腸症は, 血漿蛋白が消化管へ異常漏出することにより惹起される低蛋白血症を主徴とする症候群である. |
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ISSN: | 1343-2826 |