安全性と確実性を向上させるべく我々の施行している全上下顎同時移動術の標準術式

顎矯正外科の治療目標は患者各人にとって最高の咬合と顔面美を造ることである. さらに安全かつ確実な治療が施行されなければならない. 今日, 数多く施行され, 上記の事柄が最も配慮されるべき手術は全上下顎同時移動術である. 現在我々の行っている手術について報告する. その要点は, (1)自己血輸血800mlの準備 (2)下顎枝矢状分割法により開始する. (3)骨切り骨片の位置決定の方法. (4)術中側面頭部X線規格写真, 正面頭部X線写真, 撮影による確認と微調整. (5)骨接合時C.O.=C.R.の確立と, 顎間固定解除によるC.O.=C.R.の確認. (6)術後の顎間固定は可及的に行わない....

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 7; no. 2; pp. 216 - 217
Main Authors 鶴木隆, 波多野敬彦, 鈴木君和, 市ノ川義美, 松井隆, 重松知寛, 黒田崇, 樋口和彦, 野村真弓, 鈴木敏正, 一色泰成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 31.10.1997
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Summary:顎矯正外科の治療目標は患者各人にとって最高の咬合と顔面美を造ることである. さらに安全かつ確実な治療が施行されなければならない. 今日, 数多く施行され, 上記の事柄が最も配慮されるべき手術は全上下顎同時移動術である. 現在我々の行っている手術について報告する. その要点は, (1)自己血輸血800mlの準備 (2)下顎枝矢状分割法により開始する. (3)骨切り骨片の位置決定の方法. (4)術中側面頭部X線規格写真, 正面頭部X線写真, 撮影による確認と微調整. (5)骨接合時C.O.=C.R.の確立と, 顎間固定解除によるC.O.=C.R.の確認. (6)術後の顎間固定は可及的に行わない. このため骨接合法は, 上顎にminiplate, 下顎にlag mini screwの使用である. 1996年, 骨切り手術施行症例数は, 78例で下顎枝矢状分割法47例, 全上下顎同時移動術17例, 下顎のみに変換11例であった. 出血量は全上下顎同時移動術の679±287ml, 最大1311ml, 最小243mlでした. 自己血輸血は全例におこなわれ582±197g, 最大1000g, 最小300gであった. 質問 北大, 歯, 2補綴 高道理 患者自身が咬合変化をチェックする場合, チェックポイントを教えて下さい. 回答 東歯大, 2口外 鶴木隆 顎間固定非施行患者に対しては, 咬合の観察を1日, 朝晩, 明るい鏡の前で, 自己の咬合をcheckするよう指導する. 観察項目は, (1)上下歯列正中線の関係が変化していないか, (2)上顎歯列が下顎歯列を被蓋しているか, (3)咬んだ感触が変化していないか, の3点である. 変化がみられた時は即, 電話連絡するよう指導する. 診療用携帯電話は必携すべきものと考える. 質問 東医歯大, 歯, 1口外 天笠光雄 術中, 下顎骨の手術が終了した時点で出血が多い場合は, 上顎の手術を中止するとのことですが, 下顎のみで良好な咬合が得られますか. 回答 東歯大, 2口外 鶴木隆 顎矯正手術では, 同種血輸血をしてはならないと私は確信している. 出血量が増大すれば, 2 stage operationにするのは術者として当然の判断である.
ISSN:0916-7048