当院における照射血使用状況の経緯とその運用方法

当院での血液製剤への放射線照射は, 平成5年頃より放射線科に委託して行われていた. そのため, 緊急時や夜間休日の対応が困難でGVHD予防に欠かせない処置であるにもかかわらず件数が伸びなかった. しかし, 平成8年6月より血液製剤専用の照射装置(IBL437C)を導入して以来, 照射件数は急増した. その経緯と当院での運用方法を報告する. <運用方法> 手術用血液 その手順は, 血液のオーダー(伝票に照射希望の有無)→交差試験→輸血部で患者別に保管→手術室より輸血必要時輸血部に連絡(インターカム又は電話)→使用単位数のみ輸血部で照射→手術室に照射血払出. 手術用以外の血液 その手順...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 5; pp. 653 - 654
Main Authors 西原えり子, 大本祥子, 今村潤, 佐々木匡秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.09.1998
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ISSN0546-1448

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Summary:当院での血液製剤への放射線照射は, 平成5年頃より放射線科に委託して行われていた. そのため, 緊急時や夜間休日の対応が困難でGVHD予防に欠かせない処置であるにもかかわらず件数が伸びなかった. しかし, 平成8年6月より血液製剤専用の照射装置(IBL437C)を導入して以来, 照射件数は急増した. その経緯と当院での運用方法を報告する. <運用方法> 手術用血液 その手順は, 血液のオーダー(伝票に照射希望の有無)→交差試験→輸血部で患者別に保管→手術室より輸血必要時輸血部に連絡(インターカム又は電話)→使用単位数のみ輸血部で照射→手術室に照射血払出. 手術用以外の血液 その手順は, 血液のオーダー(伝票に照射希望の有無)→交差試験→輸血部で患者別に保管→使用予定日当日使用を確認→使用単位数のみ輸血部で照射→病棟, 診療科に照射血払出. 休日, 夜間当直時も同様照射血使用状況の経緯:平成6年度13単位(0.09%), 平成7年度337単位(1.97%), 平成8年度10,883単位(49.68%). ()内はFFP以外の総使用数に対する割合. 平成9年度の4, 5, 6月の総使用数に対する照射血使用の割合は約98,5%であった. まとめ:当院では使用直前に照射するため, 廃棄となる照射血はほとんどないが, 大量出血を伴う緊急時の対応が困難である. その対策として, 照射血液をある程度, 常時, 在庫しておきたいが, その場合血液センターに照射済み血液の返品が不可となり, 施設の経済的負担が大きくなる. 今後, 未照射血と同様に照射血の返品も可能になるよう血液センターの協力を願いたい.
ISSN:0546-1448