赤血球濃厚液の品質管理に有効な全血比重を用いた血漿分離量の簡便な算出法について

近年, 本邦でも血液の有効利用と輸血副作用の軽減のために, 各目的に応じた成分輸血が普及し, 血液製剤の大部分が成分製剤の形で供給されるようになった. また最近保存液がACDからCPDへ移行したこと, GMPによる品質基準の設定等, 血液製剤に対する質的な考慮と管理が一層要求されるようになってきた. こうした状況の中で赤血球濃厚液(以下濃赤と略記)の過剰と血漿製剤の不足が問題となっている. 昭和56年度の鳥取県に於ける赤血球有効利用率は54%にとどまり, 月平均300本近くの濃赤が廃棄されていたのは誠に残念であった. この解決には不必要な全血輸血にかえて濃赤の利用が増える必要がある. 濃赤の積...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 30; no. 1; pp. 33 - 35
Main Authors 池沢喜三雄, 霜村文一, 石亀一実, 上平敦, 佐藤暢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1984
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ISSN0546-1448

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Summary:近年, 本邦でも血液の有効利用と輸血副作用の軽減のために, 各目的に応じた成分輸血が普及し, 血液製剤の大部分が成分製剤の形で供給されるようになった. また最近保存液がACDからCPDへ移行したこと, GMPによる品質基準の設定等, 血液製剤に対する質的な考慮と管理が一層要求されるようになってきた. こうした状況の中で赤血球濃厚液(以下濃赤と略記)の過剰と血漿製剤の不足が問題となっている. 昭和56年度の鳥取県に於ける赤血球有効利用率は54%にとどまり, 月平均300本近くの濃赤が廃棄されていたのは誠に残念であった. この解決には不必要な全血輸血にかえて濃赤の利用が増える必要がある. 濃赤の積極的な使用を妨げている原因の一つとして, ヘマトクリット値(以下Htと略記)のバラツキが大きく, さらに3分割製剤として濃縮血小板血漿を分離した場合, 特にもともと全血比重が1,060と高い血液より分離すると, 得られる濃赤のHtは85%を越えるものもみられ, 濃赤は濃すぎて使いにくいとの印象を与えているものと思われる. そこで演者らは, Htを一定に管理する簡便な方法を検討し, 良い結果を得たので報告する.
ISSN:0546-1448