心拍再開しICUに収容したCPA症例の検討

近年, 一般人への心肺蘇生法の普及, 救急システムの改善等によりCPA症例の救命率は改善してはいるが, 依然としてまだ低い. 今回我々は, 平成10年1月より平成11年6月までの1年半の間に当院救急外来にCPAで搬送され, 蘇生処置を施行後, 心拍再開しICUに収容した症例について検討を行ったので報告する. 〔結果〕心拍再開症例は86例で, 性別は男/女51/35, 年齢62.8(0~90)歳であった. その内, 30例は24時間以内に死亡, さらに23例は48時間以内に死亡. 1週間以上生存したのは14例で, ICUを退室できたのは12例であった. この内, 軽快退室したのは2例のみであった...

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Published in蘇生 Vol. 18; no. 3; p. 200
Main Authors 梶田裕加, 寺澤篤, 高津るみ子, 山田富雄, 林和敏, 田口弥人, 杉本憲治, 安田邦光, 高須宏江, 石川清
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 01.09.1999
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Summary:近年, 一般人への心肺蘇生法の普及, 救急システムの改善等によりCPA症例の救命率は改善してはいるが, 依然としてまだ低い. 今回我々は, 平成10年1月より平成11年6月までの1年半の間に当院救急外来にCPAで搬送され, 蘇生処置を施行後, 心拍再開しICUに収容した症例について検討を行ったので報告する. 〔結果〕心拍再開症例は86例で, 性別は男/女51/35, 年齢62.8(0~90)歳であった. その内, 30例は24時間以内に死亡, さらに23例は48時間以内に死亡. 1週間以上生存したのは14例で, ICUを退室できたのは12例であった. この内, 軽快退室したのは2例のみであった. 軽快退室した2症例を呈示する. 〔症例1〕61歳, 男性. 平成10年10月18日, テニスの試合中, 突然CPAとなり偶然居合わせた医師により直ちにCPRが施行された. 救急車内でVfとなり, DCを3回施行, 当院救急外来に搬送された. 心エコー上心機能の低下が認められたため, IABP挿入下にCAGを施行し, 冠動脈狭窄に対しPTCA施行後ICUに収容した. 第5病日, 循環動態安定化し一般病棟へ軽快退室した. 〔症例2〕49歳, 男性. 平成11年3月30日, 食事後に頚部痛, 冷や汗, 吐き気が出現し救急車を要請. 車内でCPAとなり, 救急隊によりCPR施行されつつ当院救急外来に搬送された. 院内でVfが出現し, DC施行後PCPS挿入下にCAGを行い, 冠動脈にステント留置とIABP挿入後ICUに収容した. 第9病日, 循環動態安定化し一般病棟へ軽快退室した. 〔考察およびまとめ〕今回の当ICUのCPA症例の検討では, 救急外来搬送後, 蘇生処置により心拍が再開しICU管理を行っても, その後短期間に死亡する症例がほとんどであった. また, 蘇生後, 低酸素性脳障害等により社会復帰することは難しく, CPA症例の予後は極めて悪かった. 我々の救命した2症例で分かるように, CPA症例救命のためにはby-stander CPR, 心肺蘇生法の社会一般への普及が不可欠であり, あわせて救急システムの構築が重要であると思われた.
ISSN:0288-4348