在宅指導上, 症状のはっきりしない合併症に対する配慮
脳性麻痺や重複障害児, 者の多くは, 言語表現が十分できず, 臨床症状も不明瞭なことが多い. 発症の初期に遭遇する親や介護職員に注意を喚起する必要がある. 「調査対象」地域通所に通う85名で調査した. 病名は80%が脳性麻痺であった. 抗痙剤の服用は約50%にみられた. 診断確定に時間を要した3例は, 1例は膿胸, 2例はイレウスであった. 「結果」膿胸1例は, 42歳女性. 脳性四肢麻痺型. 常時胃の痛みや体幹の筋痛があった. 近医で胃炎の治療を受けていたが, 軽い嘔吐や食欲低下と右背胸部に軽い痛みがあったが咳や発熱もなく, 胃の痛み止めの治療を受けていた. 1週後, 息苦しいとの電話相談が...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 35; no. 11; p. 859 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.11.1998
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 脳性麻痺や重複障害児, 者の多くは, 言語表現が十分できず, 臨床症状も不明瞭なことが多い. 発症の初期に遭遇する親や介護職員に注意を喚起する必要がある. 「調査対象」地域通所に通う85名で調査した. 病名は80%が脳性麻痺であった. 抗痙剤の服用は約50%にみられた. 診断確定に時間を要した3例は, 1例は膿胸, 2例はイレウスであった. 「結果」膿胸1例は, 42歳女性. 脳性四肢麻痺型. 常時胃の痛みや体幹の筋痛があった. 近医で胃炎の治療を受けていたが, 軽い嘔吐や食欲低下と右背胸部に軽い痛みがあったが咳や発熱もなく, 胃の痛み止めの治療を受けていた. 1週後, 息苦しいとの電話相談があり, 専門病院へ緊急入院を依頼した. 結果は右全肺野にわたる脳胸であったが, 幸い回復し, 在宅生活に復帰できた. 2例はイレウス例. 12歳男児. 常時嘔吐や嘔気がみられる. 軽い繰り返す嘔吐があり, 腹痛も軽く繰り返していたが, 症状の軽減, 増悪が続くので, 翌日専門病院受診させ, 入院観察となった. 数日後開腹手術で, 小腸部に椎茸片が詰まり症状の変動が出現していた. 20歳例も繰返す嘔吐で気付いたが, 手術までに数日を要し, 人工肛門設置したが, 6月後死亡した. 「考察」初発症状は常時見られた嘔吐でも, 病変の経過, 全身状況の変化を観察し, 専門医との連携を介護者に指導し, 命の管理を要す. |
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ISSN: | 0034-351X |