CryoSeal System を用いた自己血漿由来クリオプレシピテートの調製法
【目的】フィブリングルー(FG)は, 主として外科手術において皮膚・消化管をはじめとする諸器官の組織接着や閉鎖及び創傷治癒などの目的で広く使用されている生体組織接着剤である. しかし, 市販のFGでは加熱処理が施されているが, ウイルス感染の危険性が完全に回避されているとはいい難い. そこで, 我々は以前からFGの主成分であるクリオブレシピテート(Cryo)を自己血漿から調製することを目的とし, 種々の検討を進めてきた. 今回, より短時間で自動的に Cryo の調製が可能な CryoSeal System について検討した. 【方法】400ml採血した全血(抗凝固剤:ACD)を遠心分離または...
Saved in:
Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 175 |
---|---|
Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1998
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0546-1448 |
Cover
Summary: | 【目的】フィブリングルー(FG)は, 主として外科手術において皮膚・消化管をはじめとする諸器官の組織接着や閉鎖及び創傷治癒などの目的で広く使用されている生体組織接着剤である. しかし, 市販のFGでは加熱処理が施されているが, ウイルス感染の危険性が完全に回避されているとはいい難い. そこで, 我々は以前からFGの主成分であるクリオブレシピテート(Cryo)を自己血漿から調製することを目的とし, 種々の検討を進めてきた. 今回, より短時間で自動的に Cryo の調製が可能な CryoSeal System について検討した. 【方法】400ml採血した全血(抗凝固剤:ACD)を遠心分離または膜型血漿分離器(旭BCC-I, 旭メディカル)により得られた血漿から CryoSeal System を用いて Cryo を調製し, 血漿蛋白および調製時間を測定した. FG は Cryo に10単位のトロンビン溶液を加えて調製し, in vitro の評価として, ブタの皮膚(真皮層)を用いた接着試験を行った. 【結果】遠心由来血漿199.2±1.8ml(n=9), BCC 由来血漿201.0±2.4ml(n=5)から各々3.9±0.9ml, 3.8±0.7mlの Cryo を得た. Cryo 中のフィブリノゲン濃度および回収率は各々33.4±7.5mg/ml, 25.9±5.5%(遠心由来), 31.0±3.9mg/ml, 24.2±3.4%(BCC由来)であった. 自己血漿から Cryo の調製に要した時間は約55分であった. 接着強度は438g/cm^2 と市販品(418g/cm^2 )と同等の結果が得られた. 【考察および結論】自己血漿由来 Cryo は安全かつ安価であるが, その調製には労力と時間を必要とする. CryoSeal System は迅速かつ自動的に自己血漿由来 Cryo の調製が可能であった. また, FG としての接着効果は, 基礎的な検討結果において市販品と遜色がみられなかった. このことから, 本システムは今後広く臨床に用いられる可能性がある. |
---|---|
ISSN: | 0546-1448 |