MRI横断像による頸椎症性脊髄症の予後予測

頸椎症性脊髄症における脊髄の非可逆性の変化をMRI横断像で観察し, ADL訓練上必要な臨床的予後予測を行った. 1995年7月以降頸椎椎弓切徐術後にField Echo MRI横断像を撮像した22例を検討した. 男性15例, 43~77歳平均64歳, 術後平均5年経過している. 最も変形の高度な高位の脊髄形態を, 1. 楕円型(6例), 2. 後索の残存する三角型(10例), 3. 扁平型(6例)の3群に分類した. 全例の改善率は53%, 各群の改善率は楕円型71%, 三角型53%, 扁平型31%であった. 三角群10例中7例では痙性麻痺, 知覚異常などの臨床症状が白質の萎縮変化の強い側に残り...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 11; p. 766
Main Authors 浜西千秋, 田中清介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1997
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Summary:頸椎症性脊髄症における脊髄の非可逆性の変化をMRI横断像で観察し, ADL訓練上必要な臨床的予後予測を行った. 1995年7月以降頸椎椎弓切徐術後にField Echo MRI横断像を撮像した22例を検討した. 男性15例, 43~77歳平均64歳, 術後平均5年経過している. 最も変形の高度な高位の脊髄形態を, 1. 楕円型(6例), 2. 後索の残存する三角型(10例), 3. 扁平型(6例)の3群に分類した. 全例の改善率は53%, 各群の改善率は楕円型71%, 三角型53%, 扁平型31%であった. 三角群10例中7例では痙性麻痺, 知覚異常などの臨床症状が白質の萎縮変化の強い側に残り, また筋萎縮や筋力低下が灰白質の高輝度化がみられる側で長期残存した. 脊髄横断面積は対照群で脊髄87平方ミリメートル, 白質部分は62平方ミリメートル, バタフライ状に高輝度にみえる灰白質部分は25平方ミリメートルであった. 白質面積あるいは白質/灰白質面積比はいずれも臨床改善率と強く相関した. 256段階輝度分析では正常脊髄で灰白質/脳脊髄液比約0.5, 白質/脳脊髄液比約0.3, 灰白質/白質比約1.7となり灰白質輝度の定量化が可能となった. 病理的に白質の萎縮は神経線維の脱髄あるいは瘢痕化を示し, 筋緊張, 筋協調, 知覚等の異常など脊髄症の臨床症状の主たる部分に関係し, 灰白質の高輝度化は前角神経細胞の脱落, 空隙あるいは嚢胞形成を示し, 筋萎縮と相関すると考えられるが, 今回頸椎症性脊髄症においても高分解能のMRIであればそのような白質・灰白質の非可逆性変化が容易に観察され, ADL訓練の評価あるいはゴールの設定に有用な情報がえられることが明らかとなった.
ISSN:0034-351X