血漿分画製剤の輸血部管理

安全で適正な輸血療法の基本の一つに時間外業務の完全実施が必要であるが, 当院では1997年4月より輸血部職員(教官, 医員を含む)と検査部技師の合同運営による輸血当直業務を開始し1998年4月からは両部技師の業務当直となって順調に運営されている. 輸血の安全性をより向上のために輸血のlook backという点から血漿分画製剤使用の10年間の記録も求められている. 当院では輸血部においてヒト血液由来全ての製剤(一部リコンビナント凝固因子製剤を含む)の管理, 払い出しを開始した. 1.購入, 発注等は従来通り薬剤部担当であるが, 管理, 払い出し, 記録等は全て輸血部が担当(夜間は当面1年半は従来...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 295
Main Authors 高松純樹, 布川裕貴子, 柴山修司, 中田智恵子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1999
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448

Cover

More Information
Summary:安全で適正な輸血療法の基本の一つに時間外業務の完全実施が必要であるが, 当院では1997年4月より輸血部職員(教官, 医員を含む)と検査部技師の合同運営による輸血当直業務を開始し1998年4月からは両部技師の業務当直となって順調に運営されている. 輸血の安全性をより向上のために輸血のlook backという点から血漿分画製剤使用の10年間の記録も求められている. 当院では輸血部においてヒト血液由来全ての製剤(一部リコンビナント凝固因子製剤を含む)の管理, 払い出しを開始した. 1.購入, 発注等は従来通り薬剤部担当であるが, 管理, 払い出し, 記録等は全て輸血部が担当(夜間は当面1年半は従来通り薬剤部), 2.血液製剤に準じたコンピューターシステムを開発, 3.一事務処理用員としてパート1名を確保, 4.備蓄用の機器と場所を確保を実施にあたる必須条件として病院当局と交渉し承諾を得た. 今回はこれまでの経過, 払い出しの状況, 管理等の現状と今後の課題につき報告する. 結果:医師の依頼はコンピュータによったが払い出しの手続きは容易で, 全ての記録はハードディスクに記録されたのち, CDROMに保存された. 原則として血液製剤と同様に病棟の備蓄は一切認めないが, 当初半年から1年間に限ってやむを得ず手術部, にICU, 一部病棟に備蓄した. 9月よりから11月末までの使用量はアルブミン892本, 加熱血漿製剤1278本, ガンマグロブリン820本, ATIII製剤133本, 凝固因子製剤950本, フィブリン糊製剤275本であった. 中でも加熱血漿製剤の時間外は178本, 備蓄からの使用は483本で消化器外科を中心とした安易な使用の実態が明らかになった. 考案:従来より血漿分画製剤が一般薬剤と同様に薬剤とみなされ不必要な帳尻合わせ投与が見られていた. しかし血漿分画製剤投与は本質的には輸血医療であり, 輸血部による管理が当然と思われる. FFPの使用と鏡面像で加熱血漿製剤の増加が当院のみならず全国的に認められていることは, 未だ適正な輸血医療がなされていないことであり, 全国レベルで輸血部によるこれら血漿分画製剤の管理, 適正輸血の指導が求められる. また院内における備蓄についても極力廃止する必要があると思われる.
ISSN:0546-1448