顎顔面領域の3DCT, 実体模型による立体計測の評価

通常のX線画像は3次元のものを2次元の像として表現するために, 実体の把握には制限を受けざるを得ない. 3DCTは複雑な顎顔面頭蓋骨の立体的解析に極めて有効と考えられ, CRT上で任意の方向, 角度による観察(locationの設定の自由), cutting機能による顎顔面頭蓋骨内側からの構造の把握も可能である. しかもCT画像情報より得られた光硬化樹脂製3次元実体模型を作製すれば顔面頭蓋の立体的解析はさらに容易となる. 実体模型の作製は, “光学的造形法(レーザリソグラフィ)”と呼ばれる技法を用いている. 512×512×16ビットのCT画像から実体模型の対象となる臓器(主として骨)を抽出し...

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Published in歯科放射線 Vol. 36; no. 2; pp. 121 - 122
Main Authors 清水健一郎, 上村勝人, 長谷川勲, 繁原宏, 土居雄一, 羽澤和雅, 岸幹二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 30.06.1996
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Summary:通常のX線画像は3次元のものを2次元の像として表現するために, 実体の把握には制限を受けざるを得ない. 3DCTは複雑な顎顔面頭蓋骨の立体的解析に極めて有効と考えられ, CRT上で任意の方向, 角度による観察(locationの設定の自由), cutting機能による顎顔面頭蓋骨内側からの構造の把握も可能である. しかもCT画像情報より得られた光硬化樹脂製3次元実体模型を作製すれば顔面頭蓋の立体的解析はさらに容易となる. 実体模型の作製は, “光学的造形法(レーザリソグラフィ)”と呼ばれる技法を用いている. 512×512×16ビットのCT画像から実体模型の対象となる臓器(主として骨)を抽出し, 以下の前処置を行う. (1)CT値によるしきい値処理(2)骨表面の平滑化, ノイズ除去を補うため, 画像に対してスムージングとエッジ強調フィルタを併用する. 得られた情報をコンピューター制御により, 紫外線レーザーを感光材料(紫外線硬化樹脂)表面に照射し, 断面形状を硬化, これを積層することによって立体形を生成する技法である. 今回我々は立体模型上の精度, 再現性を検討するため, 立体模型作製の材料となる紫外線硬化樹脂(日本ゴム(株)開発専用レジンデソライトSCR301)の硬化時収縮率. 乾燥頭蓋, 実体模型, 3DCT上の立体計測値の比較. さらに臨床例として下顎頭肥大による顎変型症, 両側筋突起過長症についての3DCT, 実体模型上の測定を行い, 次の結果を得た. 〔結果〕1.紫外線硬化樹脂の硬化時の容積収縮は約6%であったが立体模型の作成法が積層により形成されるため, 体積収縮は相殺され計測値が好結果を得たと考えられた. 2.線収縮は約2%であったが, この収縮の影響は残り測定上考慮すべきと考えられた. 3.上村らは, 第36回日本歯科放射線学会総会において, 乾燥頭蓋と3DCT, 実体模型の比較計測においては, 3DCTの方が計測誤差が大きく, 原因としては, CRT上での計測点の設定が困難であること報告した. そこで今回は, 乾燥頭蓋上にあらかじめ計測点をマーキングして, 乾燥頭蓋と3DCT上の計測を行った. マーキング後の3DCT上での測定誤差は0.95%となり, マーキングを行わない場合の2.16%と比べて小さくなった. しかしそれでも実体模型での測定誤差0.63%よりは大きかった. 4.下顎頭肥大による顎変形, 両側筋突起過長症例では3DCT, 実体模型のいずれもセファロ等では設定することが困難な測定点を設定し, 計測することができた.
ISSN:0389-9705