良導絡測定においてグラフに現れた精神疾患別パターンに対する考察

精神疾患を大別すると, 心理的要因に基づく, 神経症と心因反応, 体質性疾患である, 躁鬱病と大脳機能の異常と考えられる精神分裂症に分けることができる. この場合は器質性脳障害と老人性脳障害は区分される. 今回は神経症, 心因反応, 鬱病, 躁病, 精神分裂症と診断された患者良導絡測定チャートにおける, それぞれの特徴及び類似性について考察を加えてみた. これよりみると, H系では, 神経症と欝病が右下がりを示すものが多く, 欝的気分の場合にこのパターンが出やすいのではないかと思われる. 心因反応, 躁病, 精神分裂症で右上がりを示すものが多いが, これは気分の高ぶりが強い場合に起こりやすいの...

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Published in日本鍼灸良導絡医学会誌 Vol. 27; no. 4; p. 24
Main Author 飯田誠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本良導絡神経学会 01.09.1999
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ISSN0286-1631

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Summary:精神疾患を大別すると, 心理的要因に基づく, 神経症と心因反応, 体質性疾患である, 躁鬱病と大脳機能の異常と考えられる精神分裂症に分けることができる. この場合は器質性脳障害と老人性脳障害は区分される. 今回は神経症, 心因反応, 鬱病, 躁病, 精神分裂症と診断された患者良導絡測定チャートにおける, それぞれの特徴及び類似性について考察を加えてみた. これよりみると, H系では, 神経症と欝病が右下がりを示すものが多く, 欝的気分の場合にこのパターンが出やすいのではないかと思われる. 心因反応, 躁病, 精神分裂症で右上がりを示すものが多いが, これは気分の高ぶりが強い場合に起こりやすいのではないかと考えられる. F系では, 神経症, 心因反応, 欝病にF1, F4↑F2, F3↓のパターンを示すものが多く, 心理的要素が関わっている場合に現れるパターンではないかと考えられる. 躁病, 精神分裂症ではF2, F6↑F3, F4↓のパターンを示すものが多く, 病理的要素(妄想, 離人症等)によってこのパターンが出やすい可能性がある. H系よりF系が高い場合は, 自殺企図や幻聴, 被害妄想等の精神的に強い混乱が起こった場合に現れるようである. また, 欝病ではF1, F3↓F2↑を示すものが8例中3例あったが, これ等の症例では, 不安焦燥感が強く示されていた. F2は古典の肝経に相当する良導絡である. 精神疾患の診断においては, しばしば, 診断を下す医師の主観に影響されるという問題があるが, このパターンによって, 診断の誤りを指摘できる可能性がある. 例えば, 精神分裂症として, 長期に入院している患者の良導絡パターンを見ると, 欝病のパターンを示している. 実際, 躁状態と欝状態を短い周期で繰り返している. この患者は安定期がほとんどないため, 精神分裂症と誤診された可能性がある.
ISSN:0286-1631