診断に苦慮した肺原発B細胞性リンパ腫の一例
【症例】73歳, 女性. 【主訴】胸部異常影. 【現病歴】平成13年3月頃より37℃台の微熱が続き, 精査目的にて当科入院した. 精査により微熱はリウマチ性多発筋痛症(PMR)と診断した. この時胸部レントゲン胸部CT上異常影は認めなかったが, Gaシンチにて右下肺野背側に異常集積を認めた. 気管支鏡検査を施行したが異常を認めず, 低肺機能のこともあり, その後は経過観察となった. 内科にてPMRをfollowしていたが, 10月の胸部レントゲンにて右中下肺野にかけて9cm大の充実性な腫瘤影を認め, 10月15日当科入院となった. 入院時検査では, 腫瘍マーカーは全て正常であった. 胸部CTで...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 52; no. 3; p. 219 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.05.2002
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 【症例】73歳, 女性. 【主訴】胸部異常影. 【現病歴】平成13年3月頃より37℃台の微熱が続き, 精査目的にて当科入院した. 精査により微熱はリウマチ性多発筋痛症(PMR)と診断した. この時胸部レントゲン胸部CT上異常影は認めなかったが, Gaシンチにて右下肺野背側に異常集積を認めた. 気管支鏡検査を施行したが異常を認めず, 低肺機能のこともあり, その後は経過観察となった. 内科にてPMRをfollowしていたが, 10月の胸部レントゲンにて右中下肺野にかけて9cm大の充実性な腫瘤影を認め, 10月15日当科入院となった. 入院時検査では, 腫瘍マーカーは全て正常であった. 胸部CTでは右S6を中心とした充実性な腫瘤と肺門から縦隔にかけてリンパ節の腫大を認めたため, 気管支鏡検査を施行した. 気管支内腔は周囲からの圧排により狭小化し, 右B6は尖起閉塞していた. 組織診では, 慢性炎の所見のみで悪性を示唆する病変は認められなかったが, 細胞診はclass IIIで, 大型で核小体明瞭なリンパ球が散見されたため, 悪性リンパ腫を疑い可溶性IL-2レセプター抗体とチミジンキナーゼ活性を測定したところ, それぞれ20300U/I, 160U/Iと異常高値を認めた. 確定診断のため11月1日右頸部リンパ節生検を施行し, B細胞性悪性リンパ腫, 大細胞型と診断した. その後内科に転科となったが, 悪性リンパ腫の進行により, 11月23日永眠した. Gaシンチでの異常集積が先行して発見され, その後経過中にprogressiveに進行した肺原発悪性リンパ腫を経験した. |
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ISSN: | 1343-2826 |