凍結解凍後の有核細胞数及びCD34^+ 細胞数の測定におけるProCOUNTキットの有用性について
【目的】凍結後における造血幹細胞の保存状態を示す指標の一つに, 有核細胞(NC)数の測定がある. 現在は血球計数器などを利用する方法が一般的であるが, 細胞の生存率が考慮されていない点に問題がある. CD34^+ 細胞の測定キットProCOUNT(ペクトン)(P-キット)は, NCを核染色とCD45抗体の両者により同定するため, 血球計数器などで誤差の原因となる細胞膜のみなどの死細胞を排除する可能性がある. そこで, 凍結解凍後の末梢血幹細胞(PBSC)におけるNC数を血球計数器とP-キットで測定し, colony assayとの関係を求め, 本キットの有用性を検討した. 【方法】PBSCの凍...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 2; p. 193 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1999
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 【目的】凍結後における造血幹細胞の保存状態を示す指標の一つに, 有核細胞(NC)数の測定がある. 現在は血球計数器などを利用する方法が一般的であるが, 細胞の生存率が考慮されていない点に問題がある. CD34^+ 細胞の測定キットProCOUNT(ペクトン)(P-キット)は, NCを核染色とCD45抗体の両者により同定するため, 血球計数器などで誤差の原因となる細胞膜のみなどの死細胞を排除する可能性がある. そこで, 凍結解凍後の末梢血幹細胞(PBSC)におけるNC数を血球計数器とP-キットで測定し, colony assayとの関係を求め, 本キットの有用性を検討した. 【方法】PBSCの凍結前後において, NCに対するCD34^+ 細胞の存在率, CFU-GM数及びNC数を各々測定した. CD34^+ 細胞の測定は, P-キットを用いフローサイトメーター(ペクトン, FACS Calibur)で行った. CFU-GM数は培地にMethoCult4434v(ベリタス)を, またNC数は血球計数器(コールター, T540)とP-キットを用いて各々測定した. なお, colony assayは播種NC数を一定にして実施した. 凍結保存はCP-1を用い-80℃で行い, 解凍は37℃ water bathにて実施した. 【結果】凍結前のPBSCにおけるP-キットのNC数は血球計数器の値と良く一致したが, 解凍後においては血球計数器よりも約35%低値を示した. 一方, 解凍後における播種CD34^+ 細胞に対するCFU-GMの生成割合は, 血球計数器のNC数より導いた播種量だと凍結前より約40%低下したが, P-キットによるNC数では凍結前の割合とほぼ同一であった. 【考察】CD34^+ 細胞に対するCFU-GMの生成割合は, 血球計数器のNC数より導いた播種細胞量だと凍結後に低下したが, P-キットのNC数ならばその割合は凍結の前後で不変であった. つまり, 凍結保存によりPBSCの性質が変化しなければその割合は凍結前後で一定であるから, P-キットでは死細胞が排除でき解凍後のその割合が凍結前の値に一致したと推察される. よって, P-キットを用いれば, 生存しているNC数及びCD34^+ 細胞数が測定できると思われる. |
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ISSN: | 0546-1448 |