気管支動脈瘤破裂の1例
気管支動脈瘤, およびその破裂はまれな病態だが, われわれは破裂による縦隔仮性動脈瘤と右主気管支間に瘻孔を形成した症例を経験したので報告する. 〔症例〕75歳, 男性. 胸背部痛で発症し, 他院を受診. CT上, 気管背側から分岐下にかけて腫瘤を認め, 気管, 食道の圧排所見があり, 膿瘍または血腫の疑いで当科に紹介, 入院となった. 入院時, 嚥下困難があり, 前胸部皮下に紫斑を認めた. MRI, ダイナミックCTで腫瘤内部の血流と大動脈からの流入動脈を確認し, 気管支動脈瘤破裂, 縦隔血腫と診断した. 入院5日目に右肺炎を発症し, 人工呼吸管理となった. 気管支鏡では右主気管支膜様部に潰瘍...
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Published in | 気管支学 Vol. 20; no. 3; p. 294 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本気管支学会
25.04.1998
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ISSN | 0287-2137 |
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Summary: | 気管支動脈瘤, およびその破裂はまれな病態だが, われわれは破裂による縦隔仮性動脈瘤と右主気管支間に瘻孔を形成した症例を経験したので報告する. 〔症例〕75歳, 男性. 胸背部痛で発症し, 他院を受診. CT上, 気管背側から分岐下にかけて腫瘤を認め, 気管, 食道の圧排所見があり, 膿瘍または血腫の疑いで当科に紹介, 入院となった. 入院時, 嚥下困難があり, 前胸部皮下に紫斑を認めた. MRI, ダイナミックCTで腫瘤内部の血流と大動脈からの流入動脈を確認し, 気管支動脈瘤破裂, 縦隔血腫と診断した. 入院5日目に右肺炎を発症し, 人工呼吸管理となった. 気管支鏡では右主気管支膜様部に潰瘍が形成され, 同部で著明な狭窄を認めた. 痰からはMRSAが検出された. この狭窄を解除しないかぎり, 肺, 気管支潰瘍の状態改善が望めないと考え, 入院12日目に左後側方開胸で流入動脈結紮, 血腫除去術を施行した. 血腫を除くとその残存腔と右主気管支の間に大きな瘻孔を認め, 単純閉鎖が不可能なため肋間筋, 広背筋弁による被覆閉鎖を行った. その後, 気管支‐食道‐右胸腔瘻から右膿胸となり, 術後12日目に死亡した. 剖検では右気管支膜様部の広範な欠損と, 食道の断裂, 器質化+化膿性肺炎を認めた. 〔結語〕気管支動脈瘤破裂に気管支瘻, MRSA感染を伴っていたため, 手術治療が困難であった. |
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ISSN: | 0287-2137 |