GPIIbに変異を有するグランツマン血小板無力症の遺伝子解析
[目的]グランツマン血小板無力症(以下GT)は, 血小板膜糖蛋白(以下GP)IIb-IIIa の量的あるいは質的異常に起因する遺伝性の出血性疾患であるが, 原因となる遺伝子上の変異は症例により異なる. 今回われわれは韓国人のGT症例について遺伝子解析等を行った. [材料および方法]患者は韓国人女性で, 出生時より出血傾向を示した. 血小板凝集能はアゴニストとしてADP, コラーゲンおよびリストセチンを用い, アグリゴメーターにて測定した. 血小板表面の GPIIb, IIIa 及び IIb-IIIa 量をフローサイトメトリーにより測定し, 血小板内部も含めたGP量をウェスタン・プロット法により...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 258 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1998
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Summary: | [目的]グランツマン血小板無力症(以下GT)は, 血小板膜糖蛋白(以下GP)IIb-IIIa の量的あるいは質的異常に起因する遺伝性の出血性疾患であるが, 原因となる遺伝子上の変異は症例により異なる. 今回われわれは韓国人のGT症例について遺伝子解析等を行った. [材料および方法]患者は韓国人女性で, 出生時より出血傾向を示した. 血小板凝集能はアゴニストとしてADP, コラーゲンおよびリストセチンを用い, アグリゴメーターにて測定した. 血小板表面の GPIIb, IIIa 及び IIb-IIIa 量をフローサイトメトリーにより測定し, 血小板内部も含めたGP量をウェスタン・プロット法により測定した. GPIIb およびIIIa cDNA の増幅はRT-PCR法にて, 両糖蛋白の genomic DNA の増幅はPCR法にて行った. 塩基配列の解析は dye terminator cycle sequencing法にて行い・変異の確認は PCR-RFlP 法により行った. [結果および考察]患者の血小板はADP及びコラーゲンでは凝集を示さず, リストセチンでのみ凝集し, GTに特徴的な凝集パターンを示した. 患者の血小板表面には正常なGPIIb-IIIa complex はほとんど認められなかった. またウェスタンプロット法で GPIIb をほとんど認めず, GpIIIaはわずかに存在するのみであった. RT-PCR により, 患者血小板では正常サイズのバンド以外に小サイズのバンドを認めた. 小サイズのバンドを切り出し, 塩基配列を調べたところ, 患者血小板ではGPIIbの exon 26から exon 29にかけての282bpの欠失が認められ, スプライシング異常(exon 26から exon 29へのスキップ)の生じていることが認められた. 更に, genomic DNA の塩基配列の解析により, GPIIbの exon 23内に CAA (Gln)⇒ CCA (Pro)への point mutation が認められ, 患者はこの変異に関してヘテロであることが判明した. 従って, 本患者の発症原因は, スプライシング異常と exon 23内の point mutation とが同時に生じた compound mutation に起因すると思われる. |
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ISSN: | 0546-1448 |