気管分岐部形成術症例の検討
〔目的〕教室で経験した気管分岐部形成例を分析し, その術型と適応について検討した. 〔対象・方法〕1993年12月までに教室で経験した気管分岐部形成例は22例である. 対象疾患はいずれも肺癌で, 行われた術式は, 気管分岐部切除再建術4例(Montage型1, 二連銃型1, One stoma型2), wedge pneumonectomy 1例(右), sleeve pneumonectomy17例(右16, 左1)であった. 〔結果〕1)手術死亡は4例(18.2%), 在院死亡は2例(9.1%)と高率で, いずれもsleeve pneumonectomy症例であった. 2)手術死亡を含めた...
Saved in:
Published in | 気管支学 Vol. 16; no. 3; p. 242 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本気管支学会
01.05.1994
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-2137 |
Cover
Summary: | 〔目的〕教室で経験した気管分岐部形成例を分析し, その術型と適応について検討した. 〔対象・方法〕1993年12月までに教室で経験した気管分岐部形成例は22例である. 対象疾患はいずれも肺癌で, 行われた術式は, 気管分岐部切除再建術4例(Montage型1, 二連銃型1, One stoma型2), wedge pneumonectomy 1例(右), sleeve pneumonectomy17例(右16, 左1)であった. 〔結果〕1)手術死亡は4例(18.2%), 在院死亡は2例(9.1%)と高率で, いずれもsleeve pneumonectomy症例であった. 2)手術死亡を含めた全22例の5生率は13.4%であった. 3)気管分岐部再建群は全例N0で, 5生率は66.7%であり, 1例を術後8ヵ月に脳転移で失ったが他の3例は健在である(術後13年5年6月, 5ヵ月. 4)sleeve pneumonectomy群(wedge pneumonectomyを含む)はN1以下7例, N2以上11例で, 3生率8.2%と予後不良であった(p<0.1)(最長55ヵ月癌死). 5)N2以上症例には3生例がなかった(最長34ヵ月癌死). 〔結論〕1)気管分岐部形成術では手術死亡率, 術後合併症率はなお高率である. 2)末梢肺の温存が可能ならば手術手技が複雑となっても気管分岐部再建術を施行した方が長期予後が期待できる. 3)N2(特にbulky N2)の気管分岐部形成例では長期生存が難しく, 有効な補助化学療法剤の出現に期待したい. |
---|---|
ISSN: | 0287-2137 |