末梢血幹細胞採取における白血球増殖因子の効果について
目的:より効率的な末梢血幹細胞採取をめざし, 化学療法後の造血回復期にG-CSF, M-CSFを投与しその有効性について検討した. 対象, 方法:28例の造血器悪性腫瘍例(AML16例, ALL8例, NHL4例)に対し, 寛解導入後2回の連続した地固め療法を行い, それぞれの造血回復期にCOBE Spectraで2~5回の末梢血幹細胞採取を行った. 1回目の化学療法後は, 全例造血因子は使用せずに採取を行った. 2回目の化学療法後は, 12例にG-CSF(G群)を, 6例にM-CSF(M群)を投与し, 10例(C群)にはいずれも投与せず採取を行い, 各群で1回目と2回目の採取量を比較した,...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 3; p. 685 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.07.1993
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | 目的:より効率的な末梢血幹細胞採取をめざし, 化学療法後の造血回復期にG-CSF, M-CSFを投与しその有効性について検討した. 対象, 方法:28例の造血器悪性腫瘍例(AML16例, ALL8例, NHL4例)に対し, 寛解導入後2回の連続した地固め療法を行い, それぞれの造血回復期にCOBE Spectraで2~5回の末梢血幹細胞採取を行った. 1回目の化学療法後は, 全例造血因子は使用せずに採取を行った. 2回目の化学療法後は, 12例にG-CSF(G群)を, 6例にM-CSF(M群)を投与し, 10例(C群)にはいずれも投与せず採取を行い, 各群で1回目と2回目の採取量を比較した, ただし, GCSF, M-CSFのstudyはそれぞれ独立して行っている. 化学療法はAML, ALLに対しては中等量Ara-Cを中心とし, NHLに対してはADR, MTX, CY等の多剤併用を施行した. G-CSFは5mg/kg/day(div)を化学療法後の骨髄抑制が回復しはじめてから採取終了まで, M-CSFは800万U/day(div)を化学療法終了後2~5日から採取終了まで投与した. 結果:C群では平均採取単核球数, CFU-GM数, BFU-E数ともに1回目, 2回目で有意差はなかった. G群では1回目(平均3.8回採取)に比べ, 2回目(平均3.5回採取)の平均採取単核球数, CFU-GM数, BFU-E数はそれぞれ2.6倍, 5.5倍, 3.9倍に増加した. 一方, M群ではそのような末梢血幹細胞の採取量の増大はみられなかった. 結語:化学療法後の造血回復期にG-CSFを併用することにより, 幹細胞採取量を増大することができ, 移植に十分量の採取に要する期間の短縮が期待できた. M-CSFについては, 今回の投与法における有効性は認められず, 投与量, 投与期間等の検討が必要であると思われた. |
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ISSN: | 0546-1448 |