濃厚血小板の保存中の血小板凝集能の評価について

濃厚血小板(PC)のin vitroの血小板凝集能は保存中に著しく劣化することが知られているが, この劣化がどの様な生理的意味をもつか明かではない. そこで, 我々は保存PCを洗浄し, 1mM Ca^2+ 存在下, 種々の血小板刺激剤を単独あるいは組み合わせて作用させた場合の血小板の凝集能力について検討した. 刺激剤としてADP, collagen, thrombin, PAF, A23187, PMA等を用いた. ADP, PAFおよびlow・dose collagenによる凝集応答は保存後に劣化したが, これらを組み合わせた刺激による凝集能やthrombin, A23187およびPMA刺激...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 1; pp. 144 - 145
Main Authors 岡田英俊, 宮原正行, 西崎太計志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1990
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Summary:濃厚血小板(PC)のin vitroの血小板凝集能は保存中に著しく劣化することが知られているが, この劣化がどの様な生理的意味をもつか明かではない. そこで, 我々は保存PCを洗浄し, 1mM Ca^2+ 存在下, 種々の血小板刺激剤を単独あるいは組み合わせて作用させた場合の血小板の凝集能力について検討した. 刺激剤としてADP, collagen, thrombin, PAF, A23187, PMA等を用いた. ADP, PAFおよびlow・dose collagenによる凝集応答は保存後に劣化したが, これらを組み合わせた刺激による凝集能やthrombin, A23187およびPMA刺激による凝集能は保存72時間後もよく保持された. 以上のことより, PCの保存により劣化した血小板凝集能は, 生理的Ca^2+ を補い, 刺激剤を組み合わせることにより十分回復することが示唆された. したがって, 従来のPCの血小板凝集能の測定条件では, 輸血後の血小板の止血効果を評価するには不十分であると思われる.
ISSN:0546-1448