頭部X線規格写真法による幼児の頭蓋・顔面形態に関する研究
頭蓋顔面の成長発育の研究は, 多くの報告がなされてきているが, 頭蓋冠を含んだ幼児期のものは少ない. 今回, 極小未熟児等の頭蓋形態を研究するに当たっての, 健常児での対象群として, 当科所蔵の3歳および5歳の小児40名の正貌および側貌頭部X線規格写真を用い計測, 統計処理を行った. [結果] 1) 脳頭蓋部での成長は, 頭蓋長に比べ頭蓋高の成長の割合が, 男女ともに小さく, また頭蓋の深さの方向は前方方向にあるようだった. 2) 中顔面部では, 男女ともに上顎骨の成長が活発のようで, とくに高さが増加していた. 3) 下顔面部では, 成長量は大きく, 下顎骨の成長は活発のようであったが, 量...
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Published in | 昭和歯学会雑誌 Vol. 7; no. 1; pp. 124 - 125 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学・昭和歯学会
01.03.1987
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ISSN | 0285-922X |
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Summary: | 頭蓋顔面の成長発育の研究は, 多くの報告がなされてきているが, 頭蓋冠を含んだ幼児期のものは少ない. 今回, 極小未熟児等の頭蓋形態を研究するに当たっての, 健常児での対象群として, 当科所蔵の3歳および5歳の小児40名の正貌および側貌頭部X線規格写真を用い計測, 統計処理を行った. [結果] 1) 脳頭蓋部での成長は, 頭蓋長に比べ頭蓋高の成長の割合が, 男女ともに小さく, また頭蓋の深さの方向は前方方向にあるようだった. 2) 中顔面部では, 男女ともに上顎骨の成長が活発のようで, とくに高さが増加していた. 3) 下顔面部では, 成長量は大きく, 下顎骨の成長は活発のようであったが, 量的な検討はさらに必要であると思われた. 4) 頭蓋幅径の検討では, 深さや高さに比較して, 早期に成長が進んでいるようだが, その成長の割合は, 側貌での各部位に対応した結果であった. 5) 下垂体点三角として, 「小室」の方法に準じ, 脳頭蓋内面等を, 三角形面積より検討すると, 低年齢時で脳頭蓋部後方での面積は大きく変化しなかった. しかし, 顔面前方部, 中顔面部, 下顔面部の順に成長量は大きい傾向を男女ともに示した. これらは, 「小室」の6歳より17歳までの計測結果の傾向と同様のものであった. |
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ISSN: | 0285-922X |