暗算による脳血流速度の変化
はじめに 我々は過呼吸1), 息止め2), 喫煙3)等による左右内頸・椎骨動脈の血流速度の変化を検討してきた. これら4血管の血流変化を, 種々の状況において観察することは脳循環生理学的に興味深く, 脳血管障害の病態解明に通ずる可能性もある. 今回, 暗算中の脳血流速度を, 暗算開始前および暗算終了後と比較し, 興味ある知見を得たので報告する. 対象と方法 被験者は20歳から43歳(25.8±7.2歳)の健常男性9名で, 全員に予め本研究の趣旨を説明し, 被験者になる同意を得ている. マルチ・ドプラ・システム(林電気株式会社)で左右内頸・椎骨動脈血流速度を計測し, 仰臥位で閉眼中の被験者に,...
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Published in | Neurosonology Vol. 9; no. 2; pp. 33 - 37 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本脳神経超音波学会
31.05.1996
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ISSN | 0917-074X |
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Summary: | はじめに 我々は過呼吸1), 息止め2), 喫煙3)等による左右内頸・椎骨動脈の血流速度の変化を検討してきた. これら4血管の血流変化を, 種々の状況において観察することは脳循環生理学的に興味深く, 脳血管障害の病態解明に通ずる可能性もある. 今回, 暗算中の脳血流速度を, 暗算開始前および暗算終了後と比較し, 興味ある知見を得たので報告する. 対象と方法 被験者は20歳から43歳(25.8±7.2歳)の健常男性9名で, 全員に予め本研究の趣旨を説明し, 被験者になる同意を得ている. マルチ・ドプラ・システム(林電気株式会社)で左右内頸・椎骨動脈血流速度を計測し, 仰臥位で閉眼中の被験者に, 100から7あるいは1000から7を次々と引いていく暗算を30秒ないし60秒間おこなわせ, 暗算中と暗算開始前および暗算終了後の血流速度を比較した. この間, 脳波を12誘導で記録し, 暗算時のα波の抑制(出現頻度や振幅の減少)などから被検者が真面目に暗算を行っていることを確かめた. |
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ISSN: | 0917-074X |