下顎枝垂直骨切り術での下顎頭位の変化‐三次元CTによる検討

外科的矯正手術, 中でも下顎枝垂直骨切り術において, 手術前後の下顎頭位の変化が現れることは周知のことであるが, 位置あるいは治癒の異常を診断する上で, その変化を把握することは重要であると考える. 当科においても, 体軸撮影法を用い下顎頭位の変化を報告したが, 今回は, CT三次元再構築画像を利用して三次元的な下顎頭位の変化を検討したので報告した. 症例は朝日大学歯学部附属病院において, 平成6年1月から12月までに顎変形症の診断にて下顎枝垂直骨切り術を行い協力の得られた10症例, 男性3例, 女性7例, 平均年齢21.5歳であった. CT撮影には東芝メディカル社製X-visionを用い,...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 7; no. 2; pp. 220 - 221
Main Authors 永原國央, 亀谷明秀, 兼松宣武, 高井良招, 岸本正雄, 串本一男, 日置茂弘, 丹羽金一郎, 川俣明敏, 藤下昌巳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 31.10.1997
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ISSN0916-7048

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Summary:外科的矯正手術, 中でも下顎枝垂直骨切り術において, 手術前後の下顎頭位の変化が現れることは周知のことであるが, 位置あるいは治癒の異常を診断する上で, その変化を把握することは重要であると考える. 当科においても, 体軸撮影法を用い下顎頭位の変化を報告したが, 今回は, CT三次元再構築画像を利用して三次元的な下顎頭位の変化を検討したので報告した. 症例は朝日大学歯学部附属病院において, 平成6年1月から12月までに顎変形症の診断にて下顎枝垂直骨切り術を行い協力の得られた10症例, 男性3例, 女性7例, 平均年齢21.5歳であった. CT撮影には東芝メディカル社製X-visionを用い, 術前, 術後に同一条件でヘリカル撮影を行った. 画像構築処理コンピューター(プラットホーム:Macintosh), 画像観察, 計測ソフトウエア(Med Vision 1.4), 三次元画像構築ソフトウエア(Voxel View/Mac)を用い軸面, 矢状面および前額面の三次元画像を構築した. 画像編集ソフト(Adobe Photoshop 3.0)を用い, 術前の三次元画像を基準に術後の像を重ね合わせその変化を検討した. 結果:軸画像での下顎頭の変化は, 内外側移動, 前後移動, 回転に分け計測し, 内外側移動では-1.1mmから+1.6mmで平均+0.14mmであった. 前後移動では0から1.3mmで平均0.13mmであった. 回転での0°から+15°で平均5.7°であった. 前額面像での内外側傾斜の角度変化は-5°から+22°で平均+4.9°であった. 矢状画像での下顎頭の後方への回転角度は-6°から+5°で平均-0.8°であった. まとめ:下顎枝垂直骨切り術での下顎頭位は術式, 移動量により複雑に変化するが今回の検索では相関関係がみいだせなかった. さらに検討を加えると同時に, 下顎枝矢状分割術との比較を行いたいと考えている. 質問 東医大, 2矯正 榎本勤 3D-CTのope前後の精度とdataの有効性について. 回答 朝日大, 歯, 口外 永原國央 今回の分析では, 距離的には1mm, 角度としては1°以下は誤差として除去してあります. 質問 広島大, 歯, 2口外 石川武憲 先生の結果から, 垂直骨切りと矢状骨切りの適応を, また関節への影響はどちらがbetterかに関する考えを教えて下さい. 回答 朝日大, 歯, 口外 永原國央 今回の検索ではSSROとの比較を行ったわけではないので今後の検討課題としたいと思っております. <追加>X線的経過をみると傾斜が生じて治る傾向があるように思えたので, 将来御検討の上, 教えて下さい.
ISSN:0916-7048