福岡市の訪問指導の現状
福岡市は退院後の重度障害者を対象とし, 医療・保健・福祉のチームによる総合的在宅ケアを目的として訪問指導を実施中である. この事業を進める中で, 指導後のフォローなどの問題も多く指摘されている. 一方, その意義は大きいと思うので, もう少し充実させるため, どの症例にも対応できるマニュアルを試行錯誤中である. 今回は予後を左右する観点から探り, 検討した. 1例につき6回の訪問指導を終了した32例(脳血管障害者が29例)の平均年齢は68歳であり, 退院後3カ月~15年経過していた. チーム全員により, 1例ごとの病像や予後について多角的検討を行った. 実施された訪問の成否の第1は, 本人の意...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 30; no. 12; p. 986 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.12.1993
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 福岡市は退院後の重度障害者を対象とし, 医療・保健・福祉のチームによる総合的在宅ケアを目的として訪問指導を実施中である. この事業を進める中で, 指導後のフォローなどの問題も多く指摘されている. 一方, その意義は大きいと思うので, もう少し充実させるため, どの症例にも対応できるマニュアルを試行錯誤中である. 今回は予後を左右する観点から探り, 検討した. 1例につき6回の訪問指導を終了した32例(脳血管障害者が29例)の平均年齢は68歳であり, 退院後3カ月~15年経過していた. チーム全員により, 1例ごとの病像や予後について多角的検討を行った. 実施された訪問の成否の第1は, 本人の意欲にかかっていることが明らかであった. たとえば, 寝たきりに近い状態から外出が可能となったり, 全例においてADLや精神的向上などの進歩がみられた. また高次脳機能障害など付加的障害の有無や, 家族の理解と協力も予後を左右する大きい要因であった. 一方, 指導の成果は年齢や退院後の経過年数とはまったく無関係であった. 以上のことより, チームにおけるおのおのの立場での障害者に対する関わりそのものが治療になったといえる. このように, 障害者と介護者に刺激し続けることが肝要である. そのためには, 柔軟なシステムヘの改良と努力が必要である. |
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ISSN: | 0034-351X |