上肢近位筋群に強い麻痺を呈した視床出血片麻痺例の検討

「目的」上肢遠位筋群より近位筋群の麻痺が高度(以下, 近位型)の脳血管障害片麻痺例の臨床上の特色についての検討. 「方法」対象は視床出血例170例のうち, 上肢の近位型を示した42例である. 検討項目は退院時の上下肢関節の自動運動レベル(肩, 肘, 手, 手指, 股, 膝, 足関節で抗重力位の自動運動を個々に検討し, 可能, 不十分, 肩・股関節の共同運動様運動(SM), 不能に分類), CT所見(脳梁膨大部のslice(S-1)で錐体路線維の走行範囲(P区域)と高吸収値域(HDA)との関係, 側脳室体部のslice(S2)でHDAの最外側点(LP)の位置(横径に対する比(%)で表示)について...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 12; p. 944
Main Authors 伊藤秀樹, 山谷和正, 尾山勝信, 上山浩永, 高羽通康
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1997
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」上肢遠位筋群より近位筋群の麻痺が高度(以下, 近位型)の脳血管障害片麻痺例の臨床上の特色についての検討. 「方法」対象は視床出血例170例のうち, 上肢の近位型を示した42例である. 検討項目は退院時の上下肢関節の自動運動レベル(肩, 肘, 手, 手指, 股, 膝, 足関節で抗重力位の自動運動を個々に検討し, 可能, 不十分, 肩・股関節の共同運動様運動(SM), 不能に分類), CT所見(脳梁膨大部のslice(S-1)で錐体路線維の走行範囲(P区域)と高吸収値域(HDA)との関係, 側脳室体部のslice(S2)でHDAの最外側点(LP)の位置(横径に対する比(%)で表示)について検討), 血腫量(HV)である. 「結果」(1)全例のCT上, P区域の一部にHDAがない部分がみられた. (2)肩関節可能群8例;入院後1週間以内に上肢の近位型がみられたが, 上下肢の全関節運動が回復. S-2にHDAなし. HVは4.0±2.7g. (3)肩関節不十分群6例;LPは36.8±3.6%, HVは6.0±0.6g. 下肢の全関節運動可能が3例, 下肢近位型が1例, 股, 膝, 足関節不十分が2例. (4)肩関節SM群22例:LPは40.7±4.9%, HVは9.8±4.0g. 下肢近位型が19例, 股関節SM, 膝不十分, 足不能が2例, 股, 膝, 足関節不十分が1例. (3)肩関節不能群6例;LPは54.7±7.6%, HVは17.7±4.9g. 下肢近位型が4例, 股関節SM, 膝不十分, 足不能が2例. 「結論」視床出血片麻痺例ではCT上の検討による近位型の判定と, 上下肢の肩関節の自動運動を評価してのリハビリテーションが重要である.
ISSN:0034-351X